衆議院選挙制度見直し案を提出 実現は?
有識者の調査会が14日午後、衆議院の選挙制度の見直し案を大島議長に提出した。
見直し案の内容を見ていくとポイントは2つ、議員定数削減と1票の格差是正となる。
まず1つ目の定数削減だが、現在の小選挙区比例代表並立制は維持されるが、議員定数を今の475から465に、10減らすとしている。
そして2つ目が「1票の格差」の是正。2014年の衆議院選挙については、最高裁判所が「1票の格差」に関して「憲法違反の状態」との判断を出しており、この解消を目指す案となる。
具体的には、都道府県ごとの小選挙区の数をより人口に比例するよう増やしたり減らしたりする。増えるのは東京で3、神奈川で1など5つの都や県で合わせて7つ増やす。一方、宮城や広島など13の県で1つずつ減らし、これにより「憲法違反の状態」は解消されるとしている。
大島議長は14日午後、各会派の代表を集め、提出された案に沿って対応を急ぐよう求めた。
では、この改革案に対する各党のスタンスはどうなっているのか。
賛成の姿勢なのは民主党や維新の党などで、「定数削減が不十分ながらも評価している」などとしている。また、与党である公明党も“尊重するのが基本だ”としている。
一方、共産党は定数削減そのものに反対するなどしている。
そして自民党だが、安倍首相は尊重すべきとの考え。ただ、党内には慎重論が強くある。その理由は「地方の声が届かなくなる」というものの他、定数が減る中には自民党が全議席を占める県もあることから、「自分たちの議席を減らしたくない」という本音も見えてくる。
各党のスタンスが大きく違うが、本当に改革は進んでいくのだろうか。
これは難航が必至だ。与党・自民党の地方選出の議員を中心に猛烈な反発が予想されるからだ。
定数1減 愛媛選出・村上誠一郎議員「単純に人口が少ないから発言力を半分にするというのが本当に政治的正義なのか。地方再生だとか言っても、地方の再活性化だと言っても、発言力がなくなれば、当然、実行も不可能になる」
自民党の二階総務会長も「国会が学者の意見に唯々諾々と『おっしゃるとおり』と言うのがいいのか」と述べるなど、幹部からも否定的な声が相次いでいる。
また、今後は与野党の代表者が集まって話し合うことになるが、この議論も紆余(うよ)曲折が予想される。
議論がいつまとまるかは、次の総選挙の時期にも影響を与えるのだろうか。
安倍首相周辺は「1票の格差が憲法違反の状態」とした「最高裁判決を無視するわけにはいかない」と話しているが、菅官房長官は14日午後、次のように述べた。
菅官房長官「最高裁判決というのは厳粛に受け止める必要があると思う。ただ解散権はあくまでも総理大臣の専権事項です」
また、仮にこの案で各党の意見がまとまり今の通常国会で法案が成立したとしても、具体的な区割りの見直しに時間がかかる。このため、年内に総選挙が行われた場合、新しい選挙制度は間に合わないとみられている。
安倍首相が年内に解散総選挙に踏み切る場合には、最高裁の判決をどの程度重く受け止めるのかも問われることになる。