安保法施行 集団的自衛権の行使可能に
集団的自衛権の限定的な行使を可能にし、自衛隊の海外での活動範囲を広げる安全保障関連法が29日から施行された。
安全保障関連法が施行されたことで戦後日本が、憲法違反で行使できないとしてきた集団的自衛権の行使、たとえば日本を守るために出動しているアメリカ軍の艦船を守るために自衛隊が武力を行使することなどが可能になる。
ただ、こうしたケースは「日本の存立が根底から覆される明白な危険が生じた場合」などの条件が付いていて、政府は、歯止めが掛かっていると説明している。
自衛隊がこれまで行えないとされてきた任務のうち、最初に行われるとみられているのは南スーダンのPKO(=国連平和維持活動)での任務。他国の軍隊と協力しての宿営地防衛などがあげられている。
しかし、自衛隊トップの河野統合幕僚長は現時点では新たな任務を行う必要性は低いとの見方を示した。
河野統合幕僚長「共同防衛についてはいまの我々の認識としてはそれをやるような緊迫した情勢にはないと思っています」「治安情勢が安定をしていれば、(任務を)付与する必要性はあまりないと思います」
一方、そもそも法律は憲法違反との批判に加え、「日本が他国の戦争に巻き込まれるのではないか」など国民の不安は根強いものがある。このため政府は、自衛隊の訓練が行われていないこともあり、夏の参議院選挙までは世論の反発を避けるため新たな任務は付与せず、秋以降に慎重に判断する見通し。