サミット 焦点の「財政出動」重要性で一致
26日に開幕した伊勢志摩サミットでG7(=主要7か国)の首脳らは最大のテーマ・世界経済について議論した。焦点となっていた財政出動については、その重要性で一致した。
議長をつとめる安倍首相は各国の首脳らに対し、世界経済の現状はリーマンショックに匹敵するような状況だとする資料を用いて、「政策的対応を誤ると危機に陥るリスクがある」などと説明した。G7首脳らはこうした現状認識で一致した。
安倍首相「(リーマンショックは)リスクをしっかり認識をしていかなければ、正しい対応ができなかったということではないかと思います。世界経済は大きなリスクに直面をしているという認識については一致できた」
安倍首相はこれまで、来年4月の消費税率の引き上げについて「リーマンショックのような事態が起きない限り予定通り行う」としてきたが、この議論を受けて引き上げ見送りの方向で調整に入るものとみられる。
一方、焦点となっていた財政出動について、その重要性では一致したが、各国が具体的に財政出動を実行するかについては温度差があったという。首脳宣言には「G7が機動的な財政戦略と構造改革に協力して取り組む」などの文言が盛り込まれる方向。
また、G7は中国が南シナ海などで強引な海洋進出を続けていることについても議論した。G7として中国を名指しする異例の形で懸念を示すと共に、国際法の遵守(じゅんしゅ)の重要性や力による現状変更に団結して対応することで一致した。
首脳宣言には、「国家は主張を通すために力や威圧を用いないこと」「紛争は司法手続きを含む平和的手段を追求すること」などの文言を盛り込むことを確認した。