消費増税の再延期 安倍首相「新しい判断」
安倍首相は1日夕方、首相官邸で記者会見し、来年4月に予定している消費税率の引き上げを2年半再延期することを正式に発表した。
安倍首相は伊勢志摩サミットでの議論などを受けて「世界経済が危機に陥ることを回避するため、しっかりと手を打つべきだ」とした上で、「内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げは延期すべきだと考える」と表明した。
安倍首相はこれまで、消費税率について「リーマンショックや大震災のような事態が起こらない限り予定通り引き上げる」と繰り返してきたが、今回の判断は「新しい判断だ」と述べた。
安倍首相「率直に申し上げて、現時点で、リーマンショック級の事態は発生していない。それが事実であります。熊本地震を『大震災級』だとして、再延期の理由にするつもりももちろんありません。今回『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります」
また安倍首相は、前回の総選挙の際に消費増税を「再び延期することはない」と断言していたことについては「公約違反との批判は真摯(しんし)に受け止める」とした上で、来月の参議院選挙で「国民の信を問いたい」と述べた。獲得議席の目標については連立与党で改選議席の過半数とした。
消費増税の再延期による社会保障政策への影響については「税率を引き上げた場合と同じことを全て行うことはできない」と述べ、財源を赤字国債で全てまかなうことは「無責任だ」と強調した。ただし、子育て支援や介護の受け皿の整備などについては想定より税収が増えた分を含めて財源を確保して、優先して実施していくと強調した。しかし、具体的な財源については言及しなかった。
また安倍首相は、「総合的かつ大胆な経済対策を講じる」と述べ、今年度の第2次補正予算案を編成し、秋の臨時国会で成立を目指す方針も明らかにした。