石破氏“閣外”へ…あす内閣改造、舞台裏は
3日に行われる内閣改造をめぐり、石破地方創生相が、安倍首相からの農林水産相への就任要請を断り閣外に出ることが確実になったことなどについて、舞台裏を日本テレビ政治部の青山和弘・首相官邸キャップが解説する。
これまで安倍首相は、次の首相を狙うポスト安倍候補の議員を内閣に取り込んで、政権批判を抑えてきた。一方で石破氏は、「これまで自分は封じ込められてきた」という思いを持っていて、そろそろ安倍政権と距離を置きたいと考えていた。
お互いの考えに溝が生まれる中、安倍首相は1日夕方、石破氏本人に電話をかけ、次の国会の焦点であるTPP関連法案の審議を抱える農林水産相として、閣内への残留を要請した。
なぜ地方創生相の留任ではなく農林水産相だったかというと、安倍首相が地方創生相と分野がかぶる1億総活躍相という新たな目玉ポストを作ったことに石破氏が不満を持っていたため、安倍首相は新たなポストを打診した。しかし、石破氏は首を縦に振らなかった。
電話は3~4分の短いものだった。その中で石破氏は、安倍首相が2度目の自民党総裁に返り咲く前に5年間、主要なポストにつかない時期があったことを引き合いに出して、「自分にもそういう時間がほしい」と話したという。
安倍首相は「残念です」と電話を切った後、周辺に対して「石破さんは、地方票では圧勝した4年前の総裁選から時計の針が止まっている」と嘆いたという。
このことは今後、安倍政権の不安定要因となる可能性がある。例えば安倍政権が世論の批判を浴びた時などに、石破氏を中心として党内に非主流派が形成される可能性も出てくる。
安倍首相は、こうしたことを防ぐために現在、他の人事の調整を急いでいる。もう一人のポスト安倍候補である岸田外相は留任。次世代のリーダーとして期待している稲田政調会長は、新たに防衛相で起用する方針。
菅官房長官など7人の閣僚の留任を固めて政権の骨格を維持する一方で、約70人ともいわれる自民党内の入閣待望組にも気配りして、全体の布陣を決める考え。