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慰安婦像設置への対抗措置、その背景は…

2017年1月6日 18:23
慰安婦像設置への対抗措置、その背景は…

 韓国・釜山の日本総領事館前に先月、慰安婦像が設置された問題をめぐり、菅官房長官は6日、長嶺駐韓国大使の一時帰国などの対抗措置を取ることを発表した。国会記者会館から青山和弘記者がその背景を解説する。

■なぜ政府は今回、厳しい対抗措置に踏み切ったのか

 一言で言えば、「面目が立たない」ということ。一昨年の慰安婦問題をめぐる日韓合意の際、安倍首相は冷え切った日韓関係を改善するため自らを支持する保守層の反発も覚悟して合意を決断した。そして去年9月には韓国の財団に10億円を拠出している。

 ところが合意に反する形で新たに慰安婦像を設置されてしまっては「面目が立たない」。首相周辺は「我慢の限界だ」と話している。

■今後の展開は?

 政府・与党内には日韓関係はしばらく冷え込むのではとの懸念が出ている。自民党のある閣僚経験者は「振り上げた拳をどう下ろすのか。慰安婦像が撤去されるまでとなると時間がかかるのではないか」と話している。

 政府高官は「日本は別に何も困らない」と強気の姿勢も見せているが、北朝鮮への対応などで韓国との連携が求められる上、同盟国アメリカからは日韓合意への支持と同時に良好な関係を保つように要請されている。そうした中、韓国大使が不在という状況をいつまで続けるのか。

 日本政府は今後、難しい判断が迫られることになる。