陸自ヘリ事故、ネットで臆測――「中国に撃墜されたな」「ドローン衝突」「電波妨害」 根拠は?…元幕僚長「ミサイルなら粉々に」
沖縄・宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが消息を絶った事故。原因が分からず、ネット上の書き込みでは中国によるミサイルやドローンの攻撃、電波妨害に遭ったという説が飛び交っています。これらをファクトチェックし、臆測を呼ぶ背景を考えます。
■「中国が関係している」見方の背景
有働由美子キャスター
「原因が分かっていないこともあり、ネット上で事故の一報直後から今も続いているのが、書き込みです」
「『中国に撃墜されたな。発表できない理由があるから公表してない』『中国軍がドローンを誤ってヘリに衝突させた』など、ミサイル攻撃や別の飛行物体による攻撃、また電波妨害があったのではといった見方が飛び交っています。これをファクトチェックします」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「宮古島の近くでは台湾を取り囲むように中国軍が軍事演習を行い、活発に活動していました。事故の前日には中国の空母など3隻が沖縄の南の海域を航行していました。そういうこともあり、中国が関係しているのではないかという声がネット上で上がっています」
■ヘリの撮影者「大きな音聞いていない」
小野委員
「では本当に、ミサイル攻撃の可能性はあるのでしょうか。元統合幕僚長の河野克俊さんは『ミサイルで攻撃されたら爆発音が響くはずだ』と指摘します。ですが当日、直前にヘリを撮影していた人は『そのような大きな音は聞いていない』とのことです」
「見つかった機体の一部である、ドアや燃料タンクの写真があります。河野さんは『ミサイルで攻撃を受けたらヘリの機体は粉々になる』と言いますが、原形をとどめています。政府関係者も『撃墜されたらこれほどそのままの形では回収されない』と話します」
「そのため、ミサイル攻撃が事実かどうか検証して、7段階で表すと『根拠不明』です」
■首相周辺「宮古島に高性能レーダー」
小野委員
「ミサイルではなく別の飛行体、例えばドローンによる攻撃の可能性はあるのでしょうか?」
「岸田首相の周辺は『宮古島には高性能なレーダーがあり、飛行体が近づいてくれば小さなものでも探知できる。もし近くでドローンを操っている船があれば、それもすぐに分かる』と指摘。ドローン攻撃も根拠が不明です」
■元統合幕僚長「レーダーの解析を」
有働キャスター
「では、電波を発してヘリの操縦を妨害したのではないか、という見方はどうでしょうか?」
小野委員
「なぜ電波妨害という見方が出てくるかというと、(事故があった)この日、レーダーなどの電子情報を集める中国の情報収集艦が近くを航行していたからです」
「ただ岸田首相の周辺は『ヘリを操縦できなくさせるような電波は相当に強い。そのようなものがヘリに浴びせられたら、管制塔のレーダーでも分かる。しかも電波は拡散するので、近くの船や施設でも検知される』。そのため電波妨害説も根拠が不明です」
「そもそもこの一帯は中国軍が強引な海洋進出を図ろうとしてきただけに、日本も中国軍の動きを逐一マークしている場所でもあります。異常な行動があったらすぐに分かるというのが、防衛関係者の見方です」
「河野さんは『フライトレコーダーやボイスレコーダーを見つけることが絶対条件だ。解析すれば、どのような状況だったか分かる』と話しています」
有働キャスター
「防衛の最前線での事故だけに、原因を巡って臆測も呼んでいます。まずは隊員の皆さんの捜索に全力を挙げていただきたいです」
(4月10日『news zero』より)