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「年収の壁」気にせず働ける?――10月から新対策 助成金、連続2年は扶養のまま 「働き放題?」「本質的な解決にならず」の声

2023年9月26日 11:00
「年収の壁」気にせず働ける?――10月から新対策 助成金、連続2年は扶養のまま 「働き放題?」「本質的な解決にならず」の声

パート労働者らの年収が一定額を超えると手取りが減る「年収の壁」を崩すため、政府が新たな対策を打ち出しました。主な壁は年収106万円と同130万円にあり、10月からどう変わるのでしょうか? SNS上ではポジティブな意見も厳しい声も上がります。

■半数が「壁がなければもっと働きたい」

パートタイムで働く女性で配偶者がいる3000人を対象に野村総合研究所が調査したところ、半数の人が「『年収の壁』がなくなればもっと働きたい」と答えました。そこで、その壁を崩そうという新たな対策を、政府が打ち出しました。

■「106万円」と「130万円」の壁

年収の壁はいくつかありますが、主なものが「106万円の壁」と「130万円の壁」です。働く会社の従業員の規模によって、壁の高さが違います。AさんとBさんのケースで見てみます。

夫の扶養家族のAさんは従業員101人以上のファミレスのパートで、月給8万7000円の契約です。年収では約104万円。ただ勤務日数を増やし、月給は8万8000円以上、年収は約106万円に。すると扶養から外れ、社会保険料などを支払い、その分の手取りが減りました。

一方のBさんは従業員100人以下のスーパーでパートとして働き、年収120万円でした。ところが多く働いた年に年収が130万円を超えました。130万円の壁を越えたために夫の扶養から外れ、社会保険料などを支払うことになり、やはりその分の手取りが減りました。

AさんもBさんも、結果的に手取りが減るぐらいなら年収の壁をわざわざ越えず、抑えようと考えます。ここで「働き控え」が起き、会社が困ります。パートの人が労働時間を増やしたくないとなると、人手不足がより深刻になります。

■年金制度改革を行うまでの暫定措置

そこで岸田首相が25日、対策を打ち出しました。Aさんのように年収106万円の壁の人が、もし壁を越えて社会保険料の支払いが必要となった場合、企業に支援してもらい、その分、国が1人あたり最大50万円の助成金を企業に出すというものです。

またBさんのように年収が130万円の壁の人には、一時的に壁を超えても連続2年までは扶養家族のままでいられて、社会保険料を払う必要はないとする案が検討されています。10月から実施しますが、再来年に年金制度改革を行うまでの暫定措置です。

■働く人たちや経営者の反応は?

SNSで働く皆さんの反応を見てみると、「今年度働き放題ってこと?」とポジティブに捉えている人もいれば、「連続2年だけって、それ以降どうするの? 本質的な解決になってないのではないか」と厳しい意見の人もいます。

経営者目線ではどうでしょうか。東京都内のスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は、前向きに捉えています。

秋葉社長
「9月、10月はその年の年収のゴールが見えてきて就業時間の調整が始まるため、この措置は意味があります。今まで壁を越えることに踏み込めなかったパートさんの中には、やってみようと考える人もいるでしょう」

■「年収の壁」対策を含む5本柱とは?

この対策はそもそも、岸田首相が25日に発表した経済対策の1つです。経済対策は物価高対策、持続的な賃上げや所得向上の実現、国内投資促進、人口減少乗り越えと社会改革の推進、国民の安心・安全、という5本柱があります。

年収の壁の対策は、所得向上の実現につながる政策と位置づけられています。ただ2年後に予定されている、課題が多い年金制度の改革が大事になります。

(9月25日『news zero』より)

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