【全文】ブラジル大統領選挙でルラ氏当選を受け「ブラジルは基本的な価値を共有する戦略的グローバルパートナー」磯崎官房副長官(10/31午後)
磯崎官房副長官は、31日午後の会見で、ブラジルの大統領選挙でルラ元大統領が勝利したことを受け、「ブラジルは基本的な価値を共有する戦略的グローバルパートナー」だと強調し、連携を強化していく考えを示しました。
<会見トピックス>
▽ブラジル大統領選挙
▽米中外相電話会談
▽韓国・梨泰院の事故
▽リンの値上げ
▽電気料金の値上げ
▽衛星コンステレーション
会見の概要は以下の通りです。
○磯崎官房副長官
冒頭特に私の方から申しあげることはございません。
――ブラジルの大統領選挙について。決選投票でルラ元大統領が当選。中国との関係性含め、政府としてどう向き合っていくか。
○磯崎官房副長官
現地時間の30日、ブラジルにおきまして実施をされました大統領選挙において、ルラ候補が次期大統領に選出されたことを通知をいたしております。
ブラジルは基本的な価値を共有する戦略的グローバルパートナーであるとともに、200万人を超える日系社会を介した特別な絆で結ばれております。
今般、岸田総理よりルラ候補の当選に対して祝意を表するメッセージも発出したところであります。
我が国におきましては引き続き次期ルラ政権とも緊密に連携をしながら、この伝統的かつ良好な関係をさらに発展をさせ、国際社会の諸課題につきましても、ともに取り組んでいく考え方であります。なお我が国としましては、米国、中国、ロシアをはじめとする第三国と、ブラジルの関係にコメントする立場にはございませんけれども我が国としましては、ブラジルを含む中南米諸国をはじめ国際社会における基本的な価値を共有するパートナーとの連携を強化していく考え方であります。
――米中外相による電話会談。政府としてはG20サミットなどの機会を捉え、岸田総理と習近平国家主席との首脳会談の見通しなどはございますでしょうか。
○磯崎官房副長官
米国時間で30日、ブリンケン国務長官と王毅国務委員兼外交部長との間で電話会談が行われたことは承知をしております。
ご指摘の日中首脳会談につきましては、現時点で決まっていることはございません。本年は日中国交正常化50周年の節目の年であります。
両国間には、現在でも様々な可能性とともに、数多くの課題、あるいは懸念があるわけでございますが、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めながら、諸課題、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力をしていく。建設的かつ安定的な日中関係を、日中双方の努力で構築していく考え方であります。首脳レベルのみならず、各分野、各層で多層的なやりとりを行っていくことが重要というふうに考えております。
――韓国・梨泰院での事故について。官房長官の会見で亡くなったのは10代・20代の女性ということでしたが、2人の職業は。留学生かどうかは。また日本政府として具体的な支援や対応は。
○磯崎官房副長官
在韓国日本国大使館、当該事故によりまして10代の女性1名と、20代の女性1名の邦人2名の方がお亡くなりになられたことを確認をしております。
今回の事故で亡くなられた方々に、心から哀悼の意を表するとともに、ご家族の皆さんに対して、お悔やみを申し上げたいと思います。この被害者の人定に関する報道は承知をいたしておりますけども、亡くなられた邦人2名のうち、20代の女性のご家族がインタビューに応じられていることは承知をいたしておりますけども、人定事項に関する詳細につきましては、個人保護の観点もございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
いずれにしましても、今後とも、邦人保護の観点から、ご家族によりそいつつできる限りの支援をしてまいりたいというふうに考えております。
また韓国に向けた支援につきましては、現時点までに韓国側からそういった要望は受けておりませんけども、昨日岸田総理から、大統領に対してあてたお見舞いのメッセージで述べた通り、日本政府としては、この困難なときに、韓国政府および韓国国民に改めて連帯の意を表明したいというふうに考えております。
――先ほどJA全農は11月以降の肥料の値上げを発表。特にリンは去年から3倍以上に値上がりしていたんですが、今回さらに15%以上の値上がりとなりました。
政府はリンの確保に向けて下水から再生リンを回収する施設の整備に財政支援を行う方針を示しています。今回の値上がりを受けて今後こうした動きをどのように具体化していくおつもりでしょうか。
○磯崎官房副長官
本日全農が、11月以降に出荷をする来年の春肥の卸売価格を公表し、本年の秋肥に比べて1. 1倍の値上がりとなったことは承知をいたしております。
政府としましては、来年の春肥を含めまして、肥料価格上昇分の7割を支援をする新たな対策を講じており、今般の値上げされた費用につきましても、今後、支援金の交付を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。また今般決定をしました総合経済対策におきまして、リン含有量の高い下水の汚泥や堆肥等の国内資源の利用拡大に向けて、しっかりとこれから取り組んでまいりたいというふうに考えております。
――大手電力各社が家庭用の規制料金値上げの方針を相次いで明らかにしています。受け止めと、値上げには国の認可が必要になるんですが、どのように対応していくのか教えてください。
○磯崎官房副長官
大手電力3社、東北電力、北陸電力、中国電力、この3社が規制料金の値上げを表明をして具体的な内容を検討している。このことは承知をいたしております。仮に電力会社から家庭用の規制料金値上げの申請があった場合には、経済産業省におきまして、経営効率化、この取り組みがしっかり行われているのかどうなのか、また燃料の調達費用の見込みが妥当であるか、こういったことを厳格に審査を行った上で認可をしていくことになるというふうに考えております。
――衛星コンステレーションの構築に向けて、防衛省が来年度から5年間でおよそ50基の小型衛星を打ち上げる方向で検討を進める方向だと伝えておりますけれども、事実関係を教えていただきたいのと、事実であれば狙いについて教えてください。
○磯崎官房副長官
その報道については、承知をしております。ただ政府としてミサイル防衛などを目的とした衛星コンステレーション、この構築を決定したという事実はございません。
その上でミサイルに関する技術、これは急速なスピードで変化、進化をしておりますので迎撃がより難しくなってきている、このことは事実でございます。こうした脅威に対応すべく、極超音速滑空兵器、HGV、この探知追尾のための衛星コンステレーションなどの新たな手段の実現可能性については検討しているところでございます。さらに、隙のない情報収集体制を構築する観点からは、多頻度かつ適時性を持った情報収集を可能とする小型衛星コンステレーションによる画像の取得、これに努めているところでございます。いずれにしましても、国民の皆様の命、あるいはその暮らしを守るために十分な備えができているのかどうなのか、こういった問題意識のもとで、あらゆる選択肢を排除することなく、現実的な検討を加速をしていく、そういう所存です。