本多議員“発言”立憲性犯罪WTが中間報告
立憲民主党の本多議員の発言が波紋を広げる中、党の「性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム(WT)」は8日、これまでの議論をとりまとめた中間報告を、党の法務部会に提出しました。
同時に、WT座長の寺田学衆議院議員は、本多議員らの反対意見に対し、「成人はいかなる理由をもっても、中学生以下を性行為の対象としてはならない」とのWT役員側の考えを、改めて、以下の「座長意見」として提出しました。
今後、立憲民主党がこの問題について、党として方針を示すことができるのか、注目されます。
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法務部会長 真山勇一 様
性犯罪刑法改正に関するWT座長
寺田 学
「性犯罪刑法改正に関するWT中間報告に関する座長意見」
WT役員から「成人は、いかなる理由をもっても中学生以下を性行為の対象としてはならない」といわゆる性交同意年齢の引上げを提案したものの、慎重意見が複数寄せられ、全員の賛同を得られませんでした。従って、本WT設置者である法務部会に議論結果を報告し、判断を仰ぎます。その上で、今回の提案に至った考えを座長意見として、以下の通り申し上げます。
WTの議論の中で、年齢が近い成人ならば、中学生との性行為も許されるケースがあるとの意見が寄せられました。しかし、私は成人側の年齢は関係ないと考えます。そもそも、成人と中学生という非対等な関係の中で、未成熟な中学生に性行為に関する真の同意が行えると考えるのは、成人側の勝手な思い込みと考えます。
現在、刑法の代わりに各都道府県条例で成人と未成年の淫行が処罰されていますが、真摯な恋愛関係における性行為が処罰から除外されることで、一部容認されるケースが生まれています。しかし、その容認がなされることによって、恋愛の形をした性搾取が発生し、被害の温床となっています。家庭環境に恵まれず、自己肯定感が著しく低下した中学生ほど被害に遭いやすく、「優しくしてもらえる」という恋愛錯覚が、被害に遭っていることの自覚を妨げ、後刻、性搾取に気づいた時には、強い心的障がいを将来にわたって受けることになります。
したがって、条例に定めるような一部の例外も設けることなく、いかなる理由も認めてはならないと考えました。そして、恋愛関係ならば性行為をしたいはずと考えるのも、完全に男性本位の発想です。なぜなら、女性にとって性行為の先には妊娠の可能性があるからです。性交をすれば、中学生であっても妊娠の可能性があり、それによって大きな心身の負担を負うのは中学生の側です。義務教育下で、働く自由も、経済的な余裕も、移住の自由もない中で、そして性に関する十分な知識も備わっていない中で、妊娠の負担を負わせる事態を成人が引き起こすことを例外的にでも認める理由はあるのでしょうか。あるとすれば、それは余りにも男性本位の発想と考えます。
上記の考えは、中間報告で既に述べている「中学生の脆弱性」「失われた対等性」「恋愛の中に潜む性搾取」と共に、「男性本位の発想」として、提案した理由の中核をなすものです。誰を保護し、誰の視点に立って考えるか、それが問われる議論であったと考えます。