立憲・泉新体制発足 野党各党の反応は?
立憲民主党は、続投する泉代表の脇を岡田元副総理らベテラン勢で固める執行部人事を決めた。支援団体「連合」と野党各党の反応を追った。
■ベテラン勢で脇を固めた新体制
7月の参院選の敗北を受け、26日発足した泉新体制。その特徴は、元副総理や大臣経験者などベテラン勢で若きリーダーの脇を固めた人事だ。
新たな幹事長に岡田元副総理、国対委員長に安住前国対委員長、政調会長に長妻元厚労相らベテラン議員を起用。その上で、政権交代を目指す姿勢を示すため、次の内閣・ネクストキャビネットを創設する方針も発表した。
党内からは「安定感が出た」と評価の声が上がる一方、「実質的な決定権者は岡田幹事長と安住国対委員長になるのでは」との指摘も聞こえてくる。
■「提案型野党」から「対決姿勢」に再転換
泉代表はこれまで「提案型野党」を標榜してきたが、これを転換し、岸田政権との「対決姿勢」を打ち出す考えを明らかにした。
7月の参院選で議席を減らした第一の要因について、立憲は「提案型野党を標榜したことで『何をやりたい政党か分からない』との印象を与えてしまった」と総括していた。
そのため新体制では、かつて政府与党を厳しく追及してきた安住国対委員長を9か月ぶりに再任することで、政権との対決姿勢を強め、野党第一党としての存在感を高めたい考えだ。
■「連合」…共産党との連携を警戒
立憲の支援団体「連合」の関係者は、岡田幹事長や安住国対委員長の執行部入りにより、「共産党との野党共闘路線が進むのでは」と警戒感を示した。
岡田幹事長は、民進党代表だった時、安全保障関連法への反対で共産党との連携を強め、野党共闘路線に舵を切った中心人物。安住国対委員長も共産党との連携を図ってきたからだ。
ただ、関係者によると、「連合」の芳野会長は、岡田幹事長に対し「共産党との野党共闘は絶対に受け入れられない」と伝えており、周辺に対しては「私の真意は、岡田幹事長にしっかり伝わっていると思う」と話しているという。
■国民民主「まるで先祖返り」連携を否定
国民民主党の幹部は、「まるで昔の民主党に先祖返りしたみたいだ。これでウチと連携しようというのは筋違い。これまでのスタンスを変えるつもりはない」と述べ、立憲との連携を深める可能性を否定した。また別の幹部は「共産党との共闘に突き進んだ民進党時代と(きょう発足の立憲新体制では)メンバーも中身もまるでデジャブだ」と述べた。
■共産党…再連携に期待しつつも冷静
日本共産党の小池書記局長は、日本テレビの取材に「立憲には“提案型”ではなく、対決型の“野党らしい姿”を求めている。対決型の国会論戦を期待したいし、力をあわせていきたい」と立憲新体制との連携に期待感を示した。
一方、野党共闘については「岡田幹事長も、安住国対委員長も、長妻政調会長もよく知っているが、だからといって野党共闘がうまくいくほど単純じゃない」と述べた。
■維新…「終わりの終わり」と酷評
日本維新の会の幹部は「立憲は“江戸時代”に帰って行くのか。立憲に野党第一党を任せてると日本が悪くなる」と酷評。また別の幹部は「同じ顔が出てきても仕方がない。立憲は(“終わりの始まり”ではなく)“終わりの終わり”を迎えた」と切り捨てた。
一方で、安住国対委員長の9か月ぶりの再任には「話が分かる人が帰ってきた」と歓迎する声も上がった。
■泉新体制、先行き不透明な船出
「刷新」よりも「安定」を重視した形の今回の人事に「泉代表の延命人事だ」と批判する議員もいる。また「墜落寸前だ。低空飛行で飛び続けるだろうが浮上できるかは別問題だ」などと冷ややかな声すら聞かれる。
泉新体制は、先行き不透明な船出、といえそうだ。
(政治部・野党担当キャップ 江口友起)