「菅前首相は本気」…どうなる?派閥解消 政治刷新本部の議論の行方は
■「菅さんは本気だ」…政治刷新本部で菅前総理「派閥解消を」
自民党派閥の政治資金をめぐる事件を受けて開かれた、政治刷新本部。初会合ということで、党内からは「そこまで踏み込んだ議論にはならないのでは?」との見方もあったが…最高顧問の菅前総理が早速踏み込んだ。この姿をみた菅側近議員は「菅さんは本気だ」と漏らした。
「『派閥の解消』スタートラインとして、そうしたことを進めていく必要がある」(菅前総理)
これに続いたのが、同じ“無派閥”の小泉元環境相。「今回派閥はなくしたらいいじゃないかと、そういった発言はさせてもらいました」
麻生副総裁、茂木幹事長ら党幹部が「派閥は必要」という立場の中、“無派閥”組が「派閥不要論」を打ち上げた形となった。意見の隔たりが浮き彫りになる中、刷新本部が目指す今月中の中間とりまとめはうまくいくのか?
ある閣僚経験者は「自民党内の熱量が感じられない」と指摘する。比較されるのは、リクルート事件を受けて行われた三十数年前の政治改革の議論だ。
この政治改革の議論に自民党衆議院議員として関わった、北川正恭元三重県知事。今と当時を比較すると、自民党議員がもっと「危機感」をもって取り組む必要があると警鐘を鳴らす。
「私は自分で狂気の時だったと思っています。今の自民党がそういう雰囲気にならなきゃおかしいです。このままでは自民党どころか、日本国が滅びるという恐怖感があった」「狂気をもった人がでてこないと民主主義が壊れる」
北川氏は中でも、特に若手の熱量が足りないと指摘する。岸田総理大臣が年末、若手議員で構成される自民党青年局に対して若手・地元の声をヒアリングするよう指示をしたが、北川氏はこの動きに注文をつけた。
「若手の青年局が総裁や幹事長を突き上げる話にならないと意味がない。自民党が全然燃えてないなというのがよく分かります。あの頃は若手が上を倒すか倒さないか、という話にもなりました」
熱量が足りないと指摘される若手は、何を感じているのか。
岸田総理から直接指示を受けた、自民党青年局長代理の中曽根康隆議員(41)。
厳しい冷え込みとなった今月10日、中曽根議員は地元群馬県で、新年の挨拶に支援者の元を回っていた。和気藹々とした雰囲気で挨拶が交わされる中、「お騒がせしてすいません」と政治とカネの問題で中曽根議員が頭をさげると、支援者の男性の顔は曇り、厳しい声が飛んだ。
農家の男性「農家も生産資材が上がる中で頑張って経費削減、なんとかやってるって中だから。国会議員があれじゃあ、ちょっと…一体何に使ってるとなる」
他の支援者からも…「ずっとお世話になってるし、これからも自民党支持していきたいけど、今の感じだと支持もできなくなる」「若い世代で何とか今の悪い自民党の膿を全部出し切って、新しい自民党で生まれ変わってほしい」(農家の男性)「信頼を失くすのはわけないが、回復するのにはもう何十年もかかる」(支援者の男性)
こうした厳しい声に中曽根議員は…「皆さんが1円単位の我慢をしながら生活をされている中で、一体永田町何やってんだと。ある意味『諦め』というか、政治に期待はできないという気持ちが伝わってきた」「『解体的な出直し』をしないと、失われた信頼は回復できない」
中曽根議員は特に若手の果たすべき役割について、こう語った。「いつの時代も若者がその状況をぶっ壊して新しいモノを作っていくというのがある。『党内野党』を自負する青年局が先輩に怒られてでも、もっとガンガン前に出て行く必要があるということを感じている」
たまった膿を出し、新たに生まれ変わることができるのか。自民党の覚悟が問われている。