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「わたし出たるわ」安倍氏にタンカ 舞台裏

2021年8月29日 13:53
「わたし出たるわ」安倍氏にタンカ 舞台裏

自民党総裁選への意欲を示す高市早苗前総務相が26日、BS日テレ「深層NEWS」に出演。奈良弁を交えながらコロナ対策、経済政策、対中国も含めたリスク対応、憲法改正につき考えを述べた他、態度表明につながった安倍前首相との会話も明らかにした。

(※発言内容は抜粋。文意を変えない範囲で順序を入れ替える等した)。

――総裁選に出馬する?

いたします!「これからの日本」を考えた時に、自分の中で湧き上がる、燃え上がるような強い危機感があった。この夏も災害・感染症で多くの人命が失われた。また、今の痛んだ日本経済をきちっと立て直していかなきゃいけない。日本が直面する様々なリスクへの備え、そのための法整備を何としてもやり抜きたい。その一念だ。

――推薦人20人確保にむけた手応えは?

わかりません。これからの努力(次第)だと思う。ただ、派閥所属議員も多い。衆院選に出る候補者たちは、誰ひとり(党からの)公認をいただいてないので、なんか、みんな竦(すく)んじゃっている。変な硬直感があったんで、私も本当に歯を食いしばって、死ぬ思いで手を挙げた。

――態度表明を前に安倍前首相とどんな会話を?

菅総理の任期は今年の9月まで。その後に総理には、私はやっぱり安倍晋三さんだと強く思っていた。2月から安倍さんの部屋に通い詰めて、勉強会を何度もやってきた。再々登板する際の「ニュー・アベノミクス」等の政策を打ち立てて出てほしいと思って。昨年末以降、「そんだけ元気になったんだから(次の総裁選に)出ますよね?」と言い続けてきた。でも(安倍さんは)「自分があんな辞め方したあと、やってくれてるのに申し訳ないから」と。義理人情で「菅総理を応援せなあかん」ということだった。

7月下旬に最後の確認をした。しつこく「0.1%も出ないですか?」とかきいたら、「もう絶対、出ないから」と言われて。「これまで積み上げてきた政策をどないするんですか?」と尋ねたら、「高市さん、発表すりゃいいじゃん」と突き放されるように言われた。思わず「ほんなやったら、私、出たるわ」と啖呵(たんか)を切ってしまった。

――安倍前首相から黙認を得たと?

そりゃ、安倍さんにきいていただかんかったらわからんことですけど。まあ、とめられもせんかったし、勧められもせんかったです。

――総裁選、どう戦う?

ずいぶん長いこと私は無派閥だったから、ナニ派ということにこだわらず、いろんな政策で共鳴する方に、まずはお電話でお願いしたり、お会いしてみたいなと思っている。

地方票が一番困ってまして。菅総理と岸田前政調会長は去年の総裁選に出ているので、(支持を呼び掛ける際に参考にできる)全国党員名簿をお持ちだ。私は持っていない。

自民党の野田毅選対委員長には「(公約をまとめて)選挙公報のようにして党本部から一括で送ってくれるとうれしい」とお願いしておいた。もう一つ、菅総理が一生懸命コロナ対策も含めて様々な課題にお取り組みだから「菅総理のご負担を少なくしてほしい」と申し上げた。

――首相・総裁に求められる資質とは?

もう菅総理、寝る間も惜しんで一生懸命やってらっしゃる。閣僚の方々も必死だ。でもやっぱり本当の情報が見えない、先が見えない不安感って、すごく大きい。

私は「先見性を持って、リスクを最小化する」、それから「日本を守り抜くという強い責任感」、未来を切り拓いていく覚悟を示せるか、だと思う。不都合な情報であっても、それは丁寧に説明しながら、ときには国民の皆様からは歓迎されない政策かもしれないけど、「こういう理由で必要なんだ」「今やんなきゃいけないんだ」と説得をしていく力は必要だ。

――コロナ対策

「感染者数を減らすための取り組み」に加えて、やっぱり「重症者、死亡者の極少化」だ。軽症患者も最初の1週間のうちに抗体カクテルを何とか打てるようにせないかん。抗体カクテルと、主に中等症患者に使われるレムデシビルが日本国産じゃない。重症者用の日医工のデキサメタゾンも含めて国産体制を作りたい。スイスのロシュ社の子会社は中外製薬だ。(抗体カクテルを)日本国内で作れる形を、政府が投資をしてでも、できるようにしたい。

自宅療養者をゼロにしたい。かなり国費もかかるけど、ホテルも、借り上げるんだったら見込まれている利益と、できれば風評被害の分もしっかりと手当をして借り上げる。

国費でパルスオキシメーターね(配布したい)。これ一家に1台、これからずっとあっても、無駄になんない。あと救急搬送体制もうまく回っていけばいいなあとすごく強く思っている。

――経済政策は?

私は「ニュー・アベノミクス」と呼んでいる。「サナエノミクス」というと厚かましいかなと(笑)。

第1の矢は同じ「大胆な金融緩和」。第2の矢は「緊急時のみの機動的な財政出動」。マクロ経済的にどんどんお金を出すっていうんじゃなくて、災害だとか今回のような感染症に絞り込んでいく。第3の矢は、私の場合は「危機管理投資」。人の命に関わるようなリスクを最小化するための投資とか、もっと経済が成長するために今やんなきゃ間に合わない投資に大胆にお金をかける。

経済格差対策は税制でも対応できる。「分厚い中間層を作る税制」が重要だ。麻生内閣のときに1回検討された「給付付きの税額控除」は勤労している低所得の方に控除していくものだから進めるべき。あと例えば「ベビーシッター減税」「家事支援減税」はやりたい。

――憲法改正への意気込み

憲法は改正しなければなりません。今の技術革新に追いついてないし、日本が直面しているリスクにも対応できない。今まで議員立法に励んできたが、「憲法の壁」に行き当たった。例えば、憲法21条「通信の秘密」に引っかかってしまって、諸外国でやってるような大胆な犯罪捜査やサイバー攻撃対策がなかなかできない。

防衛政策もこれは私たちの命に関わる問題ですから、新しい態様の攻撃にしっかりと応えられる防衛政策、こういうことも総裁選で議論したい。