【全文】寒波・大雪について「不要不急の外出は控えて」官房長官会見(1/25午前)
松野官房長官は25日午前、この冬一番強い寒気が流入していることについて、「最新の気象情報や交通関係の情報に十分ご注意いただき、不要不急の外出は控えていただきたい」と注意喚起をいたしました。
<会見トピックス>
▽長崎県沖の香港籍貨物船事故
▽寒波・大雪の状況と対応
▽ドイツのウクライナへの戦車供与
▽戦略的コミュニケーション室新設の検討
▽施政方針演説に対する代表質問
▽官僚の働き方と国会の関係
○松野官房長官
冒頭発言はございません。
――長崎沖での海難について伺う。香港籍の貨物船から遭難信号があり、船には中国国籍とミャンマー国籍の合わせて22人が乗っていたということだが、政府として把握している情報と対応について伺う。
○松野官房長官
きのう午後11時15分第7管区海上保安本部が中国人14名、ミャンマー人8名の計22人が乗り組む香港籍貨物船「JINTIAN」の遭難信号を受信し、長崎県男女群島西方約100キロメートルの沖合において、当該船舶が浸水による沈没の恐れがあることが判明しました。海上保安庁では直ちに巡視船、航空機に発動を指示するとともに自衛隊や韓国海洋警察庁、付近を航行する船舶に対し救助の協力を要請して対応しているところであります。付近を航行する船舶の情報によると、本日午前2時46分ごろ、当該船舶は沈没した模様です。またこれまでに付近を航行する船舶が海上に漂流していた乗組員5名を救助し、救助した5名については全員中国人であり、生存しているとの情報を得ています。引き続き海上保安庁や自衛隊、付近を航行する船舶において残る乗組員の捜索救助を実施する考えです。詳細については海上保安庁にお尋ねをいただきたいと考えています。
――昨日からの大雪について。現在までの被害情報、今後の政府の対応について。
○松野官房長官
日本の上空にはこの冬一番の強い寒気が流入し、日本海側を中心に広い範囲で大雪となり、普段雪の少ない地域においても積雪となった他、過去10年に一度程度の冷え込みとなっています。まずはこれまで不要不急の外出を控えるなどの行動をとっていただいた皆様に対し、心より感謝申し上げます。西日本を含めた広い範囲で大雪のピークは過ぎつつありますが、本日昼過ぎまでは引き続き大雪に警戒する必要があります。
また北日本や東日本の日本海側では26日にかけて局地的に大雪となる可能性があるところです。
この大雪に係る人的被害は本日午前9時30分時点で死者1名、災害との関連を調査中の死者2名、軽症者1名と報告を受けています。お亡くなりになられた方々、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。また大雪による影響で、鉄道における駅間停車や道路における車両滞留、渋滞等が各地で発生したと承知しています。これら交通機関への影響に対しては、事業者や自治体とも連携しながら除雪作業や利用者の救済活動にあたったと報告を受けています。政府においては大雪への備えに万全を期すため、危機管理センターに情報連絡室を設置するとともに、谷防災担当大臣のもと関係省庁災害警戒会議を開催し、自治体および関係機関との連携や災害応急活動に必要な体制の確保等について確認したところであります。引き続き緊張感を持って政府一体で対応に当たってまいります。大雪や暴風が予想される地域にお住まいの方におかれては、引き続き最新の気象情報や交通関係の情報に十分ご注意いただき、不要不急の外出は控えていただきますようお願いいたします。
また除雪作業の際には、事故防止のため1人では行わずご家族やご近所の方に声をかけるなど、十分に注意していただくようお願いをしたいと考えております。
――ウクライナへの戦車供与について伺います。ドイツの複数のメディアは、ウクライナに対し、ドイツ製戦車レオパルト2を供与し、ポーランドなど他国からの供給を強化することを決定したと報じました。
米メディアによると、米国も呼応して、米軍の主力戦車、エイブラムスを供与する方向で検討しているということです。
春に大規模攻撃を計画しているとされるロシアの反発は必至で、戦闘の激化も予想されますが、受け止めを伺います。
○松野官房長官
ドイツがウクライナにドイツ製戦車レオパルト2を供与することを決定したとの報道、また、米国が米軍戦車エイブラムスを供与する方向で検討しているとの報道は承知していますが、今後各国政府が個別に判断するものと承知しております。戦況については、様々な情報があり、確定的な評価や予測を申し上げることは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、ロシアのウクライナ侵略は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害する明白な国際法違反であり、強く非難します。そして、力による一方的な現状変更の試みであり、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序全体の根幹を揺るがす暴挙であります。我が国としては、引き続きG7をはじめとする国際社会と連携して、ロシアに対し、即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く申し入れていきます。
――政府が他国との情報戦への対応のため、積極的な情報発信をする、戦略的コミュニケーションとなる組織の創設を検討するという報道があるが、検討状況と政府の情報発信強化の必要性の認識について伺う。
○松野官房長官
偽情報の拡散は、普遍的価値に対する脅威であるのみならず、安全保障上も悪影響をもたらし得るものです。
こうした偽情報等の拡散への対処能力を強化する観点から、昨年末に策定した国家安全保障戦略に基づき、外国による偽情報等に関する情報の集約、分析、対外発信の強化、政府外の機関との連携の強化等のための新たな体制を政府内に整備する予定です。
新たな体制下での具体的業務等については現在調整中でありますが、今後、政府全体で偽情報等に効果的に対応することを目指していきます。
――代表質問について伺います。国会では今日から岸田総理の施政方針演説に対する代表質問が始まります。防衛力の抜本的強化や少子化対策などを巡って論戦が展開される見通しですが、どのような姿勢で臨み、政策の意義をどう説明していくか伺います。
○松野官房長官
本日から代表質問が始まりますが、政府としては防衛力の抜本的強化、新しい資本主義の実現、こども子育て政策、新時代リアリズム外交の展開など、政府の姿勢や取り組みについて丁寧に説明し、国会審議に誠実に対応してまいりたいと考えております。
――官僚の働き方と国会の関係について伺います。内閣人事局の昨年 11 月から 12 月の調査によると、官僚の国会答弁作成に要する時間は 1 日平均7時間、終了時刻はおよそ午前 3 時とのことでした。国会対応が官僚の長時間労働につながり、霞が関の人材流出にも影響しているとの指摘があります。現状の課題と改善に向けて国会側に何を求めるか、また政府としてどう取り組むかを伺います。
○松野官房長官
国家公務員の働き方改革は緊急の課題であり、優秀な人材の確保にもつながります。そのためにも長時間労働の是正が極めて重要であります。
国会対応業務は職員の負担感が大きい業務の 1 つであり、先日河野国家公務員制度担当大臣から昨年の臨時国会における国会対応業務に関する実態調査の取りまとめを公表したと承知しております。とりまとめ結果によると、国会開催前日において答弁作成に着手可能となった時刻の平均が19時54分、終了時刻の平均が26時56分、答弁作成に用した時間の平均が7時間2分であったと聞いています。国会議員からの通告時間の長期化や連絡のオンライン化等を進めていただくことは、答弁の質を高めることに繋がるという意味でも重要でありますが、政府としても答弁作成の効率化等により、国会対応業務の改善を図る努力が必要と考えています。
本調査については、今国会においても前回と同程度の調査期間を定めて調査を実施する予定と承知しており、これらの調査結果も踏まえ、引き続き各府省における好事例の展開等による国会対応業務の改善、ひいては国家公務員の働き方改革に強力に取り組んで参りたいと考えております。