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物価高対策 身内も“異例”の首相批判「何をやろうとしているのか」 減税案「一律4万円」に財務省幹部「政治的な意味しか」

2023年10月26日 10:20
物価高対策 身内も“異例”の首相批判「何をやろうとしているのか」 減税案「一律4万円」に財務省幹部「政治的な意味しか」

25日の臨時国会では、岸田首相が物価高対策で検討を指示した減税について質問が相次ぎ、身内からも批判を交えた厳しい言葉を受けました。政府与党内では一律4万円の減税をする案などが検討されています。その根拠や首相の思惑を掘り下げます。

■世耕氏は「低支持率」の原因を指摘

25日にあった参院の代表質問。与党自民党の幹部、世耕参院幹事長は冒頭に「総理を支持する」と述べた上で、岸田首相の政治姿勢などに異例の批判をしました。

「現状において支持率は低空飛行。支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないということに尽きるのではないでしょうか」

「残念ながら、現状において岸田総理の『決断』と『言葉』については、いくばくかの弱さを感じざるを得ません。世の中に対しても、物価高に対応して総理が何をやろうとしているのか、全く伝わりませんでした」

■物価高対策の「減税」に質問相次ぐ

次々と出る批判交じりの質問を、岸田首相は世耕氏のすぐ近くで、複雑な表情で聞いていました。資料を見ながら、何かつぶやいているような様子もありました。

身内からの厳しい言葉に岸田首相は「リーダーには強い意志を持って政策を実現していく姿勢を示していくことが重要だと、私も考えます。本国会でも、経済政策や物価対策を中心にしっかりと議論を重ね、国民の皆さんに丁寧に説明してまいりたい」と答えました。

この日も質問が相次いだのは、首相が物価高対策として検討を指示した減税についてでした。立憲民主党の田名部参院幹事長は「時間もかかるのに、わざわざ減税にこだわる理由も分かりません」と追及しました。

■政府与党の検討案に街の人は…?

政府与党内で出ている案では、所得税3万円、住民税1万円の1人あたり年間計4万円を減税するというものです。さらに低所得者(住民税非課税世帯)への支援として、1世帯あたり年間7万円を給付することが検討されています。

これについて25日、都内で聞きました。

共働き夫婦は「ないよりはマシですけど」「年間4万円では何か変わる感じはしないですよね」、子どもが4人いる専門職の人は「給付金とかで月々ほしいですね」と話しました。

疑問の声も上がる中、今減税が検討されている狙いとは何でしょうか?

■「一律4万円」とはじいた背景は?

有働由美子キャスター
「減税はなぜ一律4万円なのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「首相は『増えた税収を国民に還元する』と言っていて、政府関係者によると直近の2年間で3.5兆円増えました。これを納税者と扶養家族を合わせた約9000万人で割ると、約4万円という計算になります」

「そして定額の減税であれば、納税額の少ない低所得者ほど減税割合が大きくなるので、低所得者に配慮したものになります」

「さらに1998年の橋本政権で同じように定額減税をした時は3万8000円でした。24日に公明党の山口代表は『低所得者に既に給付している3万円を下回るのは心細い』と会見で発言。こういったことも、4万円の背景にはあるようです」

有働キャスター
「低所得者世帯への7万円給付の話もありましたが、みんな給付にした方がいいのではないでしょうか?」

小栗委員長
「所得税減税をするには法改正も必要で、実施するとしても来年の夏頃になるとみられています。物価高対策のスピード感という点でも、給付を望む声は確かにあります」

■自民幹部「政策打ち出す目的が不明確」

小栗委員長
「首相は、徴収した税の上振れ分を還元する上で税は分かりやすいと考えているようですが、給付で還元できない理由にはなっていないですよね」

「このため、ある自民党幹部は『政策を打ち出す目的が明確ではない』、財務省のある幹部は『増税イメージの払拭という政治的な意味しか思いつかない』と話しています」

有働キャスター
「国民もそう思っているのではないでしょうか。首相は所信表明演説でも『所得税減税』とはっきり言いませんでした。一体何をしたいのか、やはり国民に向けて分かりやすい言葉で、リーダーシップと覚悟を示してほしいです」

(10月25日『news zero』より)