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【解説】岸田総理 米議会で演説、日本企業の工場視察も―評価や狙いは?

2024年4月12日 17:41
【解説】岸田総理 米議会で演説、日本企業の工場視察も―評価や狙いは?

国賓としてアメリカを訪問中の岸田総理大臣は日本の総理としては9年ぶり、2人目となるアメリカ議会での演説を行いました。同行取材している政治部の平本典昭官邸キャップに聞きます。

――演説の評価はどうだったのでしょうか?

10回を超えるスタンディングオベーションが起きました。ある下院議員は「民主主義を単独で守る責任を負いたくないという、アメリカ人の心に響いた」と話すなど高評価の声が多く聞かれました。

一方、岸田総理がウクライナ支援を話した時は、支援継続に反対の野党共和党議員の一部が拍手をしない場面もありました。アメリカ議会の分断が浮き彫りになったシーンでした。

――その岸田総理ですがノースカロライナ州に移動しました。何をしに行っているのか。3つのテーマで聞きます。

1:「経済」で日本の貢献アピール
2:「もしトラ」意識した戦略
3:バイデン大統領にも気遣い

――まずは
1:「経済」で日本の貢献アピール
とは、どういったことでしょうか。

岸田総理が訪れた最大の理由は「経済」です。この後、建設中のトヨタ自動車の電気自動車などに載せる電池の工場、ホンダの小型ビジネスジェットの工場などを訪れます。トヨタ工場は建設が完了すれば5000人あまりの雇用を生むとされ、岸田総理は日本企業が雇用創出や投資を行い、アメリカ経済に貢献していることをアピールする考えです。

――2:「もしトラ」意識した戦略
とは、訪問にトランプ氏を意識した戦略があるんでしょうか。

トランプ氏の代名詞と言えば「アメリカ第一主義」、日本に対してもアメリカに何をしてくれるんだ、と求める政治スタイルです。そういった意味で、ノースカロライナでの投資、雇用創出はトランプ陣営に対する大きなアピールポイントで、ある外務省関係者は「『もしトラ』を意識した訪問になる」と狙いを語っています。

――ただ、大統領選は11月なのに何か「トランプ大統領」前提の動きをすればバイデン大統領から「感じ悪い」と見られないのか。
3:バイデン大統領にも気遣い
があるんでしょうか?

実は今回の訪問は、バイデン大統領への「援護射撃」という側面もあるんです。バイデン政権が力をいれている経済政策の1つがEV産業の育成です。気候変動対策の一環で力をいれています。トヨタの工場はまさにEV向けの電池工場で、バイデン政権肝いりの政策を後押ししている意味もあります。

ある政府関係者は「この場所は気候変動対策、グリーンエネルギーに共に力をいれる岸田・バイデン政権の象徴」と話しています。別の政府関係者は「アメリカへの投資、雇用創出はどの政権になろうとも日米関係強化に必要なこと」と話しています。

ノースカロライナ訪問はバイデン大統領、トランプ陣営両方への応援メッセージが込められた場所選びだったようです。

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