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【全文】正体不明の飛行物体撃墜の一連事案について「中国が説明責任を果たすように」官房長官会見(2/13午前)

2023年2月13日 13:51
【全文】正体不明の飛行物体撃墜の一連事案について「中国が説明責任を果たすように」官房長官会見(2/13午前)

松野官房長官は13日午前、正体不明の飛行物体撃墜の一連事案について「中国側が十分な説明責任を果たすことが重要と考える」と述べました。

<会見トピックス>
▽トルコ南部シリアの国境近くの大地震
▽総理の術後の経過等
▽北米上空で気球などの物体が撃墜された報道
▽飛行物体を必要な措置として撃墜できるのか
▽中国人の女性が購入した沖縄県の屋那覇島
▽中国海軍の動向
▽中国の核戦力の増強

○松野官房長官
冒頭発言はございません。

――トルコ南部シリアの国境近くの大地震について。発生から今日で1週間となります。これまでに3万人以上が死亡し、救助活動に加え、被災者支援も課題となっています。自衛隊機による物資輸送などの状況と、両国に対するODAによる緊急支援の検討状況、東日本大震災を経験している日本政府としての今後の支援の在り方について伺います。

○松野官房長官
東日本大震災を含め、大きな自然災害を経験してきた日本として、今般の地震により、被害に遭われた方々に対し、最大限の支援を行うべく全力で取り組んでいるところであります。発生直後の6日には、トルコに国際緊急援助隊チームを派遣しており、同チームは被害が深刻なカフラマンマラシュで、捜索救助活動を行っています。また、10日には国際緊急援助隊・医療チームのトルコへの派遣を決定しました。同チームの先遣隊はすでに 現地に到着し、トルコ側関係者等との調整を行っています。本日36名からなる第2団がトルコに到着する予定であります。さらに、必要な資機材を迅速かつ確実に医療チームに届けるため、自衛隊機による輸送を行うこととしており、必要な手続きを完了次第、早ければ、本日にも自衛隊のB777特別輸送機が日本を出発する予定であります。このほかトルコおよびシリアに対し、緊急援助物資の供与を行うこととしているほか、両国に対する資金面での人道支援として、ODAによる緊急支援を早急に実施すべく調整中であります。政府としては、今後も被害を受けた地域に対し、現地のニーズを踏まえて、必要な支援を迅速に行っていく考えであります。

――総理の術後の経過等について伺います。岸田総理は11日に慢性副鼻腔炎の手術を受け、本日から官邸での執務を再開予定だが、すでに出廷時間を後ろ倒しするなどの影響が出ています。術後の経過や今後の公務への影響等について伺います。

○松野官房長官
総理は11日、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎等に対処するため内視鏡による手術を受けられました。手術は成功し、術後の経過も順調と聞いています。本日から公務を再開していると承知をしております。

――北米上空で気球などの物体が撃墜されたのは4日のサウスカロライナ州沖、10日のアラスカ州沖、11日のカナダ北部、12日ヒューロン湖上空と今月で4件目となっています。また、中国でも山東半島沖で正体不明の飛行物体を発見して撃墜する準備をしていると報じられています。この一連の事案は、一部を除いて撃墜された物体がどこの国のどんな飛行物体なのか情報公開されていませんが、これに関するご所見をお願いしたいのと、今後、正体不明の飛行物体としたまま撃墜した国にメリットがある形で国内外にアピールするといった事案が都合の良いタイミングで発生する可能性もあると思いますが、政府として撃墜した国に求めることはありますでしょうか。

○松野官房長官
米国政府は日本時間の2月5日、中国が打ち上げた高高度監視機器を撃墜した旨発表したと承知しています。いかなる国であっても、他国の主権を侵害することは許されません。米国政府は今回の事案について、中国側によって容認しがたい主権侵害が行われたとした上で、自国の主権や国民の安全を守るため、慎重かつ合法的に対処した旨説明していると承知しており、我が国としても、こうした米国の立場を十分に理解しています。本件について、中国側が十分な説明責任を果たすことが重要と考えます。また、現地時間の10日には米国アラスカ沿岸沖で、11日にはカナダ・ユーコン準州上空で、12日は米国ミシガン州上空でいずれも民間航空機の脅威となる高高度の未確認飛行物体が米軍戦闘機により撃墜されたと承知をしています。米国カナダ両政府がこれらの物体を確認中と承知しています。さらに本13日、中国の山東半島沖で正体不明の飛行物体を発見して撃墜する準備をしていると報じられていると承知をしています。引き続き関連の情勢について注視してまいりたいと考えております。

――今回、飛行物体を撃墜したのは高高度にも強いF 22ですが、状況に応じて日本の領土内に入ってきた高高度の飛行物体の撃墜を米国に要請することはオペレーション上、あり得るのか、可能なのか教えてください。

○松野官房長官
実際に領空侵犯に対してとることとなる措置については個別具体的な状況にもよることから一概にお答えすることは困難であります。その上で一般論として申し上げれば、対領空侵犯措置については、我が国自身の警察権の行使として国内法に基づき、自衛隊が行っているものであります。その実施については米軍に要請するようなことは想定していません。いずれにせよ、国民の生命および財産を守るため、また我が国の主権を守るため、国際法規および慣習を踏まえて、より一層厳正に対処していく考えであります。

――先ほど警察権行使という話があったが、正当防衛や緊急避難で武器使用が限られるということが一般的にも言われておりまして、無人の気球の場合に撃墜するという行為がハードルが高いとの指摘もありますが、自衛隊法第84条が定める必要な措置として撃墜できるのか。その際の判断基準についてはどういうふうに考えるか。

○松野官房長官
繰り返し申し上げておりますけれども、外国の気球が我が国の許可なく我が国領空に侵入すれば領空侵犯となることに変わりはありません。対領空侵犯措置の任務に当たる自衛隊機は自衛隊法第84条に規定する必要な措置として武器を使用することができます。個別具体的な状況にもよることから、一概にお答えすることは困難でありますが、無人の物による領空侵犯の場合の一般論として申し上げれば、国民の生命および財産を守るために必要と認める場合には所要の措置を取ることができます。

――中国人の女性が購入した沖縄県の屋那覇島について伺います。政府として、現在の状況について調査を行うことなどはありますでしょうか。

○松野官房長官
繰り返しになりますけれども、前回申し上げました通り、重要土地等調査法案は、領海基線を有する国境離島及び、有人国境離島地域等において、その機能を阻害する行為のように起用されることを防止するため、国境離島および、有人国境離島、地域離島の区域内にある土地・建物の利用状況の調査を実施し、機能阻害行為が認められた場合に、規制を行うものと承知をしています。特定の土地の所有者や、具体の対応の一つ一つについて政府としてコメントすることは差し控えますが、いずれせよ、ご指摘の屋那覇島については、領海基線を有する国境離島、または有人国境離島地域離島に該当するものでなく、本法の対象とはなりません。重要土地調査法においては、法に基づき、国境離島および有人国境離島地域離島について、まずは区域を指定した上で、区域内にある土地建物の所有利用状況などについて調査を行い、実態把握を進めるなど、この法律の執行を着実に図っていく考えであります。政府としては関連動向について注視していきます。

――中国海軍の動向について伺います。中国海軍の測量艦1隻が12日未明、鹿児島県周辺の接続水域から日本の領海に侵入しました。中国海軍の艦艇による領海侵入今年初めてとなります。把握している事実関係で受け止め、また日本政府としてどのような対応をとったのか伺います。

○松野官房長官
2月12日未明、中国海軍の測量艦1隻が屋久島および口之島周辺の我が国領海内を航行したことを確認しました。中国海軍艦艇の航行の目的について確たることを申し上げることは困難でありますが、近年、中国による我が国周辺における軍事活動はますます拡大、活発化の傾向にあり、今回の領海内航海にしても、その一環とみられます。政府としては、海上自衛隊の航空機による監視等を行うとともに、外交ルートを通じ、我が国周辺における中国海軍艦艇等のこれまでの動向を踏まえ、我が国の強い懸念を伝えたところであります。引き続き、こうした中国海軍艦艇による領海内航行について、強い懸念を持って注視していくとともに、我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期していく考えであります。

――話題が変わります。中国の核戦力の増強について伺います。中国が現有、約300発の核弾頭を2035年までに3倍の約900発に増やす方向であることがわかりましたが、政府として把握している事実関係およびかねて核軍縮を求める政府としてどのように考えているのか見解をお願いします。

○松野官房長官
ご指摘の報道については承知しています。そうした報道の一つ一つについてコメントすることは差し控えますが、中国は透明性を欠いたまま核ミサイル戦力を含め軍事力の質、量を広範かつ急速に強化させており、このような中国の対外的な姿勢や軍事動向等は我が国を含む国際社会の深刻な懸念事項であります。唯一の戦争被爆国である我が国として従来から米国、ロシアとともに中国を含む関係国をしっかり巻き込んだ軍備管理、軍縮の取り組みが重要であるとの考えのもと、日米間でも、また中国も参加するマルチの場においても、中国が核兵器国として、また地域の重要なプレーヤーとして積極的な役割を果たすことを期待するとの立場を明確に示してきています。引き続き適切な形でこのような働きかけを行っていきます。