【全文】「外国の気球の領空侵入、自衛隊機は必要な武器使用できる」官房長官会見(2/10午後)
松野官房長官は10日午後、「外国の気球が我が国の許可なく領空に侵入すれば領空侵犯になることに変わりはない」と述べた。「対領空侵犯措置の任務に当たる自衛隊機は自衛隊法第84条に規定する必要な措置として武器を使用することができる」とした。
<会見トピックス>
▽冒頭:内閣総理大臣のメッセージ
▽沖縄県知事のアメリカ訪問
▽長崎から盗まれ韓国で見つかった仏像巡る裁判
▽沖縄県屋那覇島が中国資本に買収された件
▽尖閣問題
▽長官は「安倍晋三回顧録」を読まれたか
〇松野官房長官
明日2月11日は建国記念の日です。これを迎えるにあたっての内閣総理大臣のメッセージをお手元にお配りをしております。私からは以上でございます。
『■「建国記念の日」を迎えるに当たっての内閣総理大臣メッセージ
「建国記念の日」は、「建国をしのび、国を愛する心を養う」という趣旨のもとに、国民一人一人が、我が国の成り立ちをしのび、今日に至るまでの先人の努力に思いをはせ、さらなる国の発展を願う国民の祝日です。我が国は、四季折々の豊かな自然と調和を図りながら、歴史を紡ぎ、固有の文化や伝統を育んできました。今日、科学技術・イノベーション、文化芸術をはじめ、多くの分野で我が国は国際社会から高い評価を受けています。長い歴史の中で、我が国は幾度となく、大きな困難や試練に直面しました。先人たちは、その度に、勇気と希望を持って立ち上がり、明治維新や高度経済成長など、幾多の奇跡を実現してきました。そして、自由と民主主義を守り、人権を尊重し、法を貴ぶ国柄を育ててきました。一人一人のたゆまぬ努力と国民の絆の力によって築かれた礎の上に、今日の我が国の発展があります。そのことを決して忘れてはならないと考えます。このような先人たちの足跡の重みをかみしめながら、国民の命と暮らしを守り、自由のもたらす恵沢を確保し、全ての人が生きがいを感じられる社会の実現を目指します。そして、今を生きる国民の皆さんと共に、直面する課題に立ち向かい、将来の我が国国民に対し、世界に誇れる日本を繋いでいきたいと考えます。「建国記念の日」を迎えるに当たり、私はその決意を新たにしています。「建国記念の日」が、我が国の歩みを振り返りつつ先人の努力に感謝し、さらなる日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望いたします。令和5年2月11日内閣総理大臣岸田文雄』
――沖縄県知事のアメリカ訪問について伺います。沖縄県の玉城知事は10日の記者会見で3月中の訪米を調整していると明らかにしました。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する県の考えを米政府関係者に直接伝えるとのことですが、政府の受け止めと今後の対応について伺います。合わせて一旦延期となった普天間飛行場の地元負担軽減策を話し合う作業部会開催に向けた現在の調整状況についてもお聞きします。
〇松野官房長官
沖縄県の対応について政府としてコメントする立場にはありません。その上で申し上げれば、普天間飛行場の移設については、日米間で累次にわたり確認してきている通り、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に変わりはありません。この方針に基づき、着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の1日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することに繋がるものであると考えます。引き続き、地元の皆様への丁寧な説明を行いながら、辺野古への移設を含め、沖縄の基地負担軽減に全力で取り組んで参ります。普天間基地負担軽減推進会議作業部会については本年2月に開催できるよう日程や議題についての調整を進めていますが、現時点において開催日等は決まっていません。
――長崎から盗まれ韓国で見つかった仏像巡る裁判について伺います。引き渡しを求めている韓国の寺は引き渡し要求を認めないとする2審判決を不服として上告しました。政府見解と今後の対応を伺います。
〇松野官房長官
韓国国内で係争中の事案であるため我が国の対応の詳細を含め、コメントすることは差し控えさせていただきます。政府としては、対馬の観音寺を含む関係者と連絡を取りつつ、適切に対応していく考えであります。
――沖縄県の屋那覇島について。沖縄本島から北西の位置にあるみたいなんですが、嘉手納基地からだいたい60キロぐらいの至近距離にあるんですけど、これが中国資本に買収されたという件です。この島については、与那国から奄美まで、これが自衛隊が南西シフトとして展開しており、中国の太平洋進出を防止するための第1列島線と位置づけております、この中に入っているんですけども、こうした重要な島について外国に買収されたことについては日本政府としてどのように考えるか。なお、先日長官の会見で令和4年1月に九州西方沖で、中国の今話題になっている気球が確認された件もある。また、民事的にはオーストラリアのケスウィック島の一部が中国資本に買収されて、近隣のオーストラリア人を排除している問題もある。外国資本が日本の不動産を買い取るということは結構沖縄などの地域に限らず都内でもあることだが、非常に所有権が強い日本の民法のもと、こういったトラブルや安全保障に影響すると思われますが、この件を含めて伺います。
〇松野官房長官
まずお尋ねの離島についてでありますが、重要土地等調査法は領海基線を有する国境離島および有人国境離島地域離島について、その機能を阻害する行為の用に供されることを防止するため、国境離島および有人国境離島地域離島の区域内にある土地建物の利用状況の調査を実施し、機能阻害行為が認められた場合に規制を行うものであります。ご指摘の屋那覇島は領海基線を有する国境離島又は有人国境離島地域離島に該当するものでないことから本法の対象とはならないものであります。いずれにしても重要土地等調査法に基づき、国境離島および有人国境離島地域離島について、まずは区域を指定した上で、区域内にある土地建物の所有・利用状況などについて調査を行い、実態把握を進めるなど、この法律の執行を着実に図っていく考えであります。気球についてのご質問がありました。外国の気球が我が国の許可なく我が国領空に侵入すれば領空侵犯になることに変わりはありません。対領空侵犯措置の任務に当たる自衛隊機は自衛隊法第84条に規定する必要な措置として武器を使用することができます。個別具体的な状況にもよることから、一概にお答えをすることは困難でありますが、無人の物による領空侵犯の場合の一般論として申し上げれば、国民の生命および財産を守るために必要と認める場合には所要の措置をとることができます。また当該措置を取るにあたっては、具体的な状況に即し、適切な装備品等を用いることとなります。なお今般の米国における事例においては、米軍は戦闘機から対空ミサイルを用いて対応したものと承知をしております。外国資本と日本の民法との関係についてのお尋ねでございますけれども、個々の事例に関してですね、詳細がわかりませんので私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
――関連してお伺いします。尖閣問題ではかなり以前、中国はかなり遠慮してですね、日本の領海ないしは接続水域については、そんな侵略はなくて、どんどん最初は漁船が入ってきて、その後海警が入ってきて、今までやっぱり軍艦が周辺をばっこしているような状況になっています。今回のこの無人島に関して、これに限らずなんですけれども、かなり安全保障の面では油断はできないと思いますけど、政府はどういうお考えでしょうか。
〇松野官房長官
尖閣諸島に関しましては国際法上も明確に日本の領土でございますし、我が国が有効に支配し、ここに領土問題は存在しないと考えております。ご指摘の案件につきましてはですね、外務省また海上保安庁等の関係省庁にお聞きをいただきたいと思います。
――最後に一つお伺いします。先日ですね、安倍総理の本が発売されたんですけども、これについて長官お読みになりましたでしょうか。もしお読みになりましたらですね、簡単にご感想などお聞かせいただけたらと思うんですが。
〇松野官房長官
今読んでいる最中であります。