【全文】ロシアによる攻撃「断じて正当化できない、強く非難」松野官房長官(10/11午前)
松野官房長官は、11日午前の会見で、ロシアによるウクライナ各地への攻撃について「民間人や民間施設への攻撃は国際法違反だ。断じて正当化できないものであり、強く非難する」と述べ、これまでに日本人の被害の情報は入っていないと明らかにしました。
<会見トピックス>
▽新型コロナ水際緩和
▽全国旅行支援
▽ウクライナ情勢
▽G7緊急首脳オンライン会合
▽北朝鮮ミサイル
▽サハリン1
▽防衛費
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
閣議の概要について申し上げます。
一般案件等3件、人事が決定されました。
大臣発言として、岸田総理大臣から、海外出張不在中の臨時代理等についてご発言がありました。
10月11日、G 7議長国であるドイツの主催で、G 7首脳テレビ会議が行われる予定であり、我が国から岸田総理が出席する予定です。
この会議では、ウクライナ情勢等について議論が行われる予定です。
また、この会議にはG 7の首脳に加え、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が冒頭のみ参加する予定です。
日本としてもウクライナ情勢等への対応に当たり、G 7が結束をし、国際社会を主導することが極めて重要と考えており、積極的に議論に貢献していく考えです。
私からは以上です。
――新型コロナの水際対策について伺います。
政府は今日から1日当たりの入国者数の上限を撤廃するとともに、自由な個人旅行を認め、短期滞在のビザを免除します。
円安状況が続く中、どのようなことに期待したいか伺います。
一方、全ての入国者などに対し3回のワクチン接種を済ませたことの証明書などの提出を求める措置は今後も続きますが、緩和も検討することになるのか、あわせて伺う。
○松野官房長官
現在、国内において、ウィズコロナに向けた新たな段階へ移行していることや、G7各国による水際措置の撤廃が進んでいることなどを踏まえ、本日より、外国人の新規入国制限の緩和、入国時検査の見直し、入国者総数の上限の廃止を行い、いっそう円滑な入国を可能としたところであります。
これらの措置は円安のメリットも生かしつつ、我が国と海外との国際的な交流をいっそう活発化させるものであり、我が国の社会経済活動に資するものであります。
また、本日から全国旅行支援も開始されます。
こうした取り組みを通じて、国内外からの観光旅行も促し、コロナ禍からの需要回復、地域の活性化に繋げてまいりたいと考えております。
ワクチン接種証明書などの提出も含め、今後の水際対策については、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを取りつつ、今後も、内外の感染状況やニーズ、主要国の水際措置の状況等を踏まえながら適切に判断していく考えであります。
――全国旅行支援について。
群馬県は期限を10月30日に設定するなど、都道府県で微妙にルールが異なっているなど、利用者や事業者にとってわかりにくいという指摘が出ている。
改めて全国一律の制度にしなかった理由を伺う。
○松野官房長官
全国旅行支援については、全国的な旅行需要を喚起するため、全国一律の支援割合とする一方、事業主体を各都道府県とすることにより、事業実施の判断を地域の感染状況に対応して、臨機応変に行うようにしたものと承知をしています。
都道府県によっては実施期限や独自の支援など、それぞれの状況に応じた設定を行い、関係者へ周知を進めているものと承知をしていますが、いずれにせよ国土交通省において、旅行者や現場の方々に混乱が広がらないよう、適切に対応していく考えであります。
――冒頭にご発言ありましたG7首脳とゼレンスキー大統領によるテレビ会議について伺います。
ドイツ政府は本日の日本時間の午後9時に開催されるというふうに発表しているが、時間については 何時からでしょうか。
あわせて、この前提となりますロシア軍がキーウなどのウクライナ全土にミサイル攻撃をし、多数の死傷者が出ました。
プーチン大統領はさらなる軍事作戦の強化を示唆しておりますけれども、日本政府としてのこの件の受け止め、今後の対応についても伺います。
○松野官房長官
10日、キーウ、リビウをはじめとするウクライナ各地へのミサイル攻撃が行われ、多くの民間人の死傷者が出ていると承知をしています。
日本として、ロシアの攻撃によりウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めています。
民間人や民間施設への攻撃は国際法違反であり、断じて正当化できないものであり、強く非難します。
我が国はG7をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対し即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求めていくとともに、引き続き、ウクライナとの連帯を堅持しウクライナ政府および国民の支援をしていく考えであります。
G7は住民投票や編入と称する行為に関する首脳声明や外相声明を迅速に発出し、こうした行為はウクライナの主権と領土一体性を侵害し国際法に違反するものであり、決して認められないと明確に示してきました。
本日の首脳会議により改めてG7の結束を確認し、国際社会に強力なメッセージを発出していきたいと考えております。
なお、時間の詳細に関しましては、外務省にお尋ねをいただきたいと思います。
――今回のウクライナ攻撃に関して、日本人の被害情報などは入っているか。
○松野官房長官
現時点までに在留邦人の生命、身体に被害が及んでいるという情報には接していません。
――北朝鮮のミサイルについて。
北朝鮮は昨日、先月下旬以降の7回の弾道ミサイル発射について、戦術核運用部隊による訓練だったと明らかにした。
新型中距離ミサイルを発射したとしているほか、低空を変則機動で飛ぶ短距離ミサイルや、小型のSLBMとみられる写真なども放送している。
韓国では7回目の核実験の予告との見方も出ている。
日本政府としての見解と分析、警戒監視など今後の対応について。
○松野官房長官
ご指摘の発表については承知していますが、北朝鮮メディアによる発表の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
北朝鮮がこれまで発射した弾道ミサイルについては、防衛省において、今回の発表も含めて諸情報をもとに総合的な分析を進めているところであります。
また、北朝鮮の軍事情報については、平素から重大な関心をもって、情報収集、分析に努めています。
今後、北朝鮮が核実験の実施を含め、更なる挑発行為に出る可能性はあると考えていますが、詳細については事柄の性質上、差し控えさせていただきます。
いずれにせよ、一連の北朝鮮の行動は我が国の地域および国際社会の平和と安定を脅かすものであり、断じて容認できません。
政府としては引き続き、米国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報収集、分析、警戒監視に全力を挙げていくとともに北朝鮮の完全な非核化に向け、日米、日米韓で緊密に連携していく考えであります。
――ロシアの資源開発事業「サハリン1」について、ロシアのプーチン大統領は新会社に事業移管する大統領令に署名した。
この事業には、経産省や日本企業も参加しているが保有する権益について政府の今後の方針をお願いします。
○松野官房長官
「サハリン1」からは今年の5月以降、原油の輸入がゼロとなっており、今回の大統領令が直ちに我が国の原油の安定供給に影響を与えるものではないと考えています。
他方で、原油輸入の約9割を中東に依存する我が国にとって貴重な中東以外の調達先であり、「サハリン1」のエネルギー安全保障上の重要性は変わりません。
その上で、ご指摘のロシア大統領令については現在詳細を確認しているところであり、今後の対応等について予断を持ってコメントすることは差し控えさせていただきますが、今後事業に参画している日本企業等ともよく協議をしてまいりたいと考えています。
詳細は経産省にお尋ねいただきたい。
――防衛費の増額について伺います。
政府が2023年度から5年間の総額を43兆円から45兆円程度にするという一部報道があります。
こうした数字について実際に俎上に載っているかなど検討状況をお願いします。
またこれまで政府中枢からは防衛費については海保予算などを含むNATO基準の採用についても言及されてきたが、検討状況をうかがいます。
○松野官房長官
報道については承知をしていますが、防衛費の総額については何ら決まっているものではありません。
防衛分野については政府として新たな国家安全保障戦略等を策定し、予算を編成する過程において、必要となる防衛力強化の内容の検討、予算の規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていく方針であります。
その際、実質的に我が国の防衛力に資する取り組みを整理し、これも含めた総合的な防衛体制を強化をしていくこと、有事であっても我が国の信用や国民生活が損なわれないよう経済的ファンダメンタルズを涵養していくことが重要であります。
こうした観点から9月30日に第一回が開催された有識者会議において、引き続き議論を進めていただくものと考えています。
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