「減税」急浮上、本当にある?――注目は“所得税”の行方 ナゼ今…“増税メガネ”イメージ払拭 「解散」注目で政権に好都合か
「減税」という言葉が急に飛び交うようになりました。政府の新たな経済対策の中で検討されていて、可能性はありそうです。背景にあるのは「イメージの払拭」「税収の上振れ」「解散の大義」という3点。本当に国民への還元となるのか、辻さんと考えます。
有働由美子キャスター
「自民党の幹部たちが今、急に発言し始めたのが『減税』という言葉です。政府が10月中に取りまとめる新たな経済対策の中で検討されているといいますが、本当に減税はありそうなのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「何らかの減税はありそうです。岸田首相は4日夜、『設備投資減税、あるいは賃上げ税制に関する減税措置はもう議論が始まっている』と述べました。まずは法人、つまり企業などの組織を対象にした減税を検討していることを明らかにしました」
「ただ世耕参院幹事長は3日、『法人税や所得税の減税も検討対象になってくると思う』と述べていて、私たちのお財布に直接影響がある所得税の減税などもあるのかどうかについては、これからの議論になりそうです」
有働キャスター
「急に出てきた減税ですが、ありそうということですね」
小栗委員長
「今回、減税が検討されている背景としては大きく分けて3つあります。まずは『イメージの払拭』です。SNS上で一部の人たちが、防衛増税などの新たな負担を求める首相のことを揶揄して『増税メガネ』と呼んでいます」
「首相周辺は『間違ったイメージだけれども、増税というイメージを払拭するため減税を打ち出そうと思っている』と話しています」
「2つ目は『税収の上振れ』です。首相は『税収増を還元する』とも言っています。これは、物価や株価の上昇などによって税収が当初の想定よりも多くなるとみられていることから、皆に返そう、ということです」
「ただ、2日の財務省の発表では法人税の申告方式が変更されたことに伴い、今年8月の税収は去年よりマイナスになったということです。本当に還元できるだけの税収増があるかどうか、不透明になってきています」
小栗委員長
「3つ目は『解散の大義』です。自民党の森山総務会長は『新たな経済対策で減税措置を打ち出すなら、解散の大義になる』と述べています。一方、世耕参院幹事長はこうした考えに否定的です」
「こうして衆議院の解散を巡っていろいろ取りざたされるのも、結果として、解散をただ一人決められる首相の主導権の強さが際立つため、政権運営には好都合と言えるのかもしれません」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「フリーランスなどへの負担が大きくなるインボイス制度も、多くの批判がある中、まさに今スタートしました。このタイミングで法人税の減税が議論に上がるのは少し違和感があるなと思います」
「消費税は上がり続けていますが、法人税は平成に入って以降、下がり続け、大企業の内部留保は増えてます。大きいところが優遇されて小さいところの負担が増えていく構造では、物価高に苦しむ国民への還元にはならないのではないかなと思います」
有働キャスター
「本当に(減税を)やるのであれば、単なるイメージアップや政治家の都合ではなく、本当に困っている国民や苦しい人たちに届く対策にしてもらわないと困ります」
(10月4日『news zero』より)