【解説】首相「内閣改造」など否定…“大きな賭け”に出る必要ないワケ “次のリーダー”不在も?
支持率低下に自民党内から不安の声が聞かれる中、岸田首相は年末年始の内閣改造と自民党の役員人事について「全く考えていない」と否定しました。岸田首相は“このままで大丈夫だ”と考えているのか…。日本テレビの小栗泉解説委員が解説します。
■支持率低下も…“大きな賭け”に出る必要はない?
有働由美子キャスター
「(内閣改造や自民党の役員人事を行わない)ということは、岸田首相は『このままで大丈夫だ』と思っているということですか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「実は政府与党内からは、『支持率を上げるには、解散・総選挙や内閣改造しかない』という声も聞かれています。実際、ある自民党幹部は『12月が内閣改造の1つのチャンスだ』と進言をしたそうですが、首相の反応は薄かったということです」
「冷静に見てみますと、今、与党は衆・参で過半数の議席を持っていて、法案も予算案も通せる状況です。これからまさに物価高対策などを盛り込んだ来年度予算案の編成が本格化するときに、内閣改造や解散を打って出るということに国民の理解を得られるかというと、これはなかなか難しいかもしれません」
「それから、内閣支持率が低くなっているとはいえ、政党支持率で見てみますと自民党は、野党第1党の立憲民主党の5倍以上の支持を得ているんです(※)。となると、『今、大きな賭けに出る必要はない』と岸田首相が考えたとしても、不思議ではないわけです」
(※NNN・読売新聞世論調査 11/4~6の期間で全国の有権者に電話調査 固定電話432人:回答率60% 携帯電話617人:回答率41% 合計1049人が回答)
「ただ、内閣改造ですとか、特に解散というのは、首相の『専権事項』と言われていて、『首相だけが決められる』『実際やるまでは、どれだけうそをついてもいい』とさえ言われているので、注意深く見ていく必要はありそうです」
■“岸田下ろし”の大義名分がない? 首相の座を奪っても“うまみ”が…
有働由美子キャスター
「岸田首相はそう思っているとしても、政権内部から『岸田さんでいけるのか』という声は…?」
小栗解説委員
「例えば“ポスト岸田”に意欲を見せている河野デジタル相や茂木幹事長ですが、いずれも内閣や党の重要なポストにあるということになると、政権を批判するいうのは自分にも跳ね返ってきてしまうわけです」
有働由美子キャスター
「確かに…」
小栗解説委員
「それから、党内で衆目の一致する“次のリーダー”というのがなかなか見当たらないということ。さらに、物価高ですとか、世界平和統一家庭連合、いわゆる“統一教会”の問題などすぐに解決することは難しいので、首相の座を奪ったとしてもまた同じ難題を抱え込むというだけで、“うまみがない”というわけです。そうなると、これまで衆・参2回の選挙で勝利した実績をもつ岸田首相を引きずり下ろす大義名分がなかなか見つからないといった状況です」
有働由美子キャスター
「とりあえず岸田さんでいくと…。本当に課題が山積していますので、しっかり、こうしたことに答えを出していってほしいと思います」
(11月24日放送『news zero』より)