日韓首脳は「友好」演出…日中会談に岸田首相「本音で話せた」
APEC首脳会議にあわせてアメリカを訪問している岸田首相は17日、スタンフォード大学で韓国の尹錫悦大統領とともに討論会に出席。日韓は「友好」を演出する一方、日中首脳会談について首相は…
■日韓首脳は「友好」演出…スタンフォード大学で討論会
岸田首相は17日、サンフランシスコ市内から車で1時間ほど離れたシリコンバレーにあるアメリカ名門大学の1つ、スタンフォード大学で、韓国の尹錫悦大統領とともに先端技術をテーマにした討論会に出席しました。
2人は、今年に入って一気に改善した両国関係を背景に、最先端の半導体や量子技術の分野などでの開発をめぐり連携を打ち出しました。ある政府関係者は「1年前だったら日韓トップがそろってイベントに参加するなんて想像もできなかった」と話しています。
■首相「思った以上に本音で話せた」と手応え…日中首脳会談
一方、1年ぶりに行われた日中首脳会談で、関係改善の糸口はつかめたのでしょうか。会談を終えた岸田首相は周辺に「思った以上に本音で話せた」と手応えを語ったという。一方、ある外務省幹部は「マイナスだった関係が『プラマイゼロ』まで戻った」という評価をしていました。
最大の懸案である日本の水産物の輸入停止措置について、岸田首相は「即時撤廃」を求めました。一方、習主席は「懸念に厳粛に対応し、責任ある態度で処理すべきだ」と批判しました。トップ同士が自分の主張をぶつけ合い、改めて「隔たり」が鮮明になった形です。
ただ、両首脳は「対話を通じて解決方法を見いだす」ことで一致。ある政府関係者は「今すぐ即時撤廃とはいかないが、解決にむけ小さいが大きな前進」と評価していました。
岸田首相自身も「一定の手応えを感じている」と振り返っていました。
■日中会談への評価は? 政府内で「評価」と「冷静な声」が交錯
これで日中関係は改善に向かうのでしょうか。会談後、複数の政府関係者に取材したところ、「評価」する意見と、「本番はここから」という冷静な意見が聞かれました。
評価する声として、ある外交担当の政府関係者は「両トップが、会って問題を解決しようという意思表示をした意味は大きい」と話しています。
一方、冷静な見方として、ある外務省関係者は「スタートラインに立てただけだ」と話し、別の官邸幹部は「中国側の行動に変化が現れるか、今後をみる必要がある」と指摘しています。
小さな一歩だけれど前に進めたという点では評価できる一方、問題解決につながるかは、これからにかかっているといえそうです。