【解説】キックバック再開に「森元首相が関与」…処分の内容・決定時期にも影響が?
岸田首相から事情聴取を受けた安倍派幹部の一部が「キックバック再開の判断には森元首相が関与していた」と新たな証言をしたことが分かりました。自民党の執行部としては、来月の首相の渡米前に安倍派幹部らへの処分を決めたい考えでしたが、処分の内容・処分を決定する時期などにも影響が出てきそうです。
「森元首相の名前がキックバック再開の問題で初めて出てきましたが、これかなり影響が大きいんじゃないですか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長 日米の政治・外交に精通
「そうですね。安倍派幹部陣の処分の内容ですとか、処分を決定する時期などにも影響が出てきそうです。まず、幹部陣への処分の内容です。これまで自民党執行部としては、安倍元首相がキックバックを廃止したにもかかわらず再開したのはいつ・誰が決めたか。この仮説として安倍元首相が亡くなった後の2022年の8月に集まった塩谷立氏、下村博文氏、世耕弘成氏、西村康稔氏の4人が事情をよく知っているだろうということで今回、首相は聴取を行ったわけです。安倍派幹部のいわゆる『5人衆』と言われる人たちのうち、8月の協議には参加していなかった松野博一氏、萩生田光一氏、高木毅氏の3人とは切り離す形で(塩谷氏ら4人は)処分も一段厳しいものにせざるを得ないのではないかと考えてきました。具体的には、塩谷氏らの4人は党の処分で3番目に重い『党員資格停止』か、もしくは4番目の『選挙における非公認』。松野氏ら3人はさらに軽い『党の役職停止』というのを軸に検討していたわけです。しかし、この8月の協議にはいなかったとされる森元首相がキックバック再開の判断に関与していたとなると、8月の協議に参加していたか参加していなかったかで線引きする合理的な理由がなくなるかもしれません」
有働キャスター
「なるほど。そしてそれが処分の時期にも影響すると?」
■首相の訪米までに処分を決したい考えだったが…
小栗解説委員長
「自民党の執行部としては、首相が訪米する前には処分を決めたい考えです。ただ、森元首相が関与しているという新たな証言が出てきたことで森元首相にも事情聴取を行うのかどうか、まずこれを検討して、やるとなれば打診して、そして返答をもらわなくてはいけません。自民党執行部からは、『4月の訪米までの処分もどうなるか』と言う声が聞かれます」
有働キャスター
「これについて辻さんはどう思いますか?」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「率直に、解明にいつまで時間をかけているんですかとは思いますが、森さんの関与がようやく証言として出てきたので、党内でも忖度(そんたく)無く追及すべきだと思いますし、ご本人も逃げずに自分の言葉で説明してほしいと思います。あと森さんに限らず、うそをついたら罪に問われる国会の証人喚問のような形で事実を明らかにすべきということも思います。あと、責任のグラデーションはもちろんあるとは思うんですけど、そもそも86人もの議員が裏金を受け取っていたとされるわけで、国民の側からすると処分が出て終わりっていうわけじゃないからね、というのは思います」
有働キャスター
「最も大事な、裏金はいつ誰が始めたのか、どうして再開されたのか、ここは岸田首相の『聞く力』で徹底的に解明してほしいです。そして今回、国民が怒りを持ち続けたことが真相解明へのプレッシャーをかけ続けていると思います。選挙とか外交日程のスケジュールありきにならないようしっかりと見届けたいです」
(3月27日放送『news zero』より)