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山形県内小選挙区の戦い 県1区 吉村知事が両陣営を激励 知事選への駆け引きも

2024年10月28日 18:26
山形県内小選挙区の戦い 県1区 吉村知事が両陣営を激励 知事選への駆け引きも

今回の衆院選、YBCのカメラが見つめた山形県内小選挙区の戦いを3回にわたって振り返ります。1回目は、県1区。選挙戦で繰り広げられた衆院選の先の政治決戦をにらんだ異例の動きを捉えました。

県1区は事実上、自民党の遠藤利明さんと立憲民主党の原田和広さんによる争いとなりました。

原田和広氏「今回の選挙、はっきり言って自民党は隠そうとしている争点があります。それは政治とカネの問題、裏金の問題です」

10回目の当選を目指す遠藤さん、裏金問題による「逆風」を肌で感じていました。

遠藤利明氏「ちょっと焦るような気持ちもある。なかなか今回の選挙は難しい。これまでのいろいろな事件の経緯もあるのかなと若干不安な部分もある」

県内でも吹いた自民への「逆風」。そうした中、異例の動きを見せたのが吉村知事です。

吉村知事「きょうはスーパームーンで、まん丸の大きな月。“丸”になるように皆さんで頑張っていただきたい」

県政運営や自身の選挙などで支援を受けていた原田さんを激励した2日後ー

「知事がお見えになりました」

遠藤さんと吉村知事が握手。知事選ではこれまで対立関係にあった自民党の候補の激励に回ったのです。

吉村知事「本当にあの、皆さん、驚かれていると思います。そして、私も大変緊張してまいりました」

7月に県内を襲った大雨の際、遠藤さんら自民党の国会議員が政府による激甚災害の指定に尽力したことへの「恩返し」でした。

吉村知事「いろいろなお力添えをいただいたのが遠藤先生であります。本当に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。政権中枢の大物政治家として山形県の未来のためにますますお力添えをいただきたいと思っている」

遠藤利明氏「長く選挙戦をした中で、こんなに感激を味わったことはないのかなという気がしております。これまでは正直ちょっと距離があったせいか、県政と国政のパイプ役としては若干自分としても不本意なところもあった」

「勝つぞー」

吉村知事(1区は相手候補も訪問しましたが、どういう結果になってほしい?)「両方上がって(当選して)ほしい。選挙小選挙区で上がる方と比例で上がる方、両方上がってほしいというのが私の思い。それが山形の力にもなる」

一部からは、5期目を目指して吉村知事の出馬が既定路線とみられている来年1月の県知事選を見据えた“接近”との見方も上がっています。

異例の動きはほかにもー。

吉村和武県議「吉村、間違って来たんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。いま山形県が本当に遠藤候補にお世話になっております。ぜひ今回は堂々たる成績で当選いただいて吉村知事とも連携して山形県のいろいろな課題を前に進めていただきたい」

選挙戦最終日。吉村知事を支え、自民党とは対立関係にある県議会の会派・県政クラブに所属する吉村和武県議が遠藤さんの個人演説会で応援演説を行ったのです。会場は吉村県議らの支援者およそ200人で埋め尽くされました。

遠藤利明氏「大事なのは市と県と国がしっかりと連携していく、こういうことに尽きるのだろうと思う。自分としても大事にしながらこれからの政治活動を進めていきたい」

吉村知事と近い関係にある吉村県議。知事の意向を踏まえての応援という見方がある中、原田さんの陣営からは「裏切り行為だ」との声も上がりました。
そしてー。

「ばんざーい」

結果は遠藤さんが大差で10回目の当選を果たしました。
一方、YBCの出口調査では、無党派層の投票先は原田さんが遠藤さんを上回りました。裏金問題を追い風に原田さんが一定の政権批判票を取り込んだことがうかがえます。しかし、原田さんは組織の運動に温度差があり、支持が広がりませんでした。

原田和広氏「自民党に対する逆風があった。一方で我々に追い風があった。その追い風を小選挙区において生かしきれなかったことに関しては私の力不足を悔やむ」

当選した遠藤さんは27日夜、知事選の対抗馬擁立の可否に含みを持たせました。

遠藤氏「もともと知事選の候補を擁立する方針だったので、擁立は前提にあると思っている。ただ、これから中央、県内の政治がどうなるか、中央の状況が決まった上で県連で議論したい」

自民党と吉村知事側が大きく接近する異例の動きを見せた県1区。告示まで3か月を切った次の政治決戦・知事選へ向けた駆け引きが活発化していきます。

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