【解説】新型コロナ感染者「全数把握」見直し 入力の作業量“10分の1”病院も 一方、デメリットはある?
新型コロナウイルスの全ての感染者の情報を届け出る「全数把握」の見直しが24日発表されました。狙いは医療現場の負担を軽くすることで、入力の作業量は10分の1になるといいます。一方、見直すことで、デメリットはあるのでしょうか。
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■狙いは医療現場の負担減 入力の作業量“10分の1”に
日本テレビ・岩本乃蒼アナウンサー
「新型コロナウイルスの全ての感染者の情報を届け出る、いわゆる『全数把握』の見直しが発表されました。いま、医療機関は、コロナ患者全員の情報を、『HER-SYS』などに入力して報告しなければなりません。これを今後、詳しい報告は高齢者や妊娠中の人などに絞り、それ以外は数や年代だけを報告する。こうした運用を、都道府県ごとの判断で実施できるようにします。狙いは、医療現場の負担を軽くするためということです」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「発熱外来のある『あそか病院』の白石医師によると、いまは入力に1人あたり10分ほどかかり(8月平均)、毎日、約80人診ているので、単純計算でも、のべ約800分(=13時間以上)の作業になるそうです。これが見直されると、この病院では重症化リスクのある人は、全体の10%、8人なので作業量は約80分と、10分の1になるといいます」
岩本
「なるほど、大幅に減りますよね」
小栗
「『医療現場としては、かなり負担が減る。その分、診療に時間が割けるようになる』と話していて、『やっとか、という思い』だと言っていました」
■「全数把握」見直し…デメリットは? 一方、感染者数の把握はこれまで通り必要
岩本
「一方で、これを見直すことによって、デメリットはないんでしょうか?」
小栗
「白石医師によると、現場としては『感染者の数が把握できているのであれば、現状考えられるデメリットはない』ということです」
岩本
「ということは、感染者数の把握はこれまで通り必要ということですね」
小栗
「そうなんです。24日の全国の感染者数は24万3483人、亡くなった人の報告は301人と、2日連続で300人を超えています。専門家からも、『せめて感染者数が把握できないと、国としての対策が立てられない』という声が聞かれます」
「今回の見直しは、あくまでも医療現場の逼迫(ひっぱく)を緩和するための『緊急避難措置』として、詳細な報告は省いても致し方ない。それも、都道府県の実情に合わせて、都道府県の判断で選べるようにと、柔軟な運用にした、ということのようです」
(8月24日放送『news zero』より)