“資金難”国立科学博物館 「未来のために」5.6万人が支援で……クラファン最高額の「9億円」 館長「国には認めてほしい」
資金難の国立科学博物館が実施したクラウドファンディングで、日本国内では過去最高額となる9億円が集まりました。支援者からは「思い出の場所だから」「未来のために」という思いが寄せられました。世界各国と比べ、日本の文化支出は少ないのが現状です。
■支援者は5万6000人以上に
有働由美子キャスター
「目標1億円が、蓋を開ければ過去最高の9億1500万円超えでした(6日午後4時時点)。資金難に陥った国立科学博物館が、資金調達のために行っていたクラウドファンディングで集まった額です」
「3か月で9億円、支援者は5万6000人以上。国内のクラウドファンディングとして額も支援者の数も過去最も多かったそうです。喜ばしいことですが、どうやってこれほど集まったのでしょうか?」
■コメントで目立つ「未来のために」
「単純計算すれば、1人1万6000円ほど出したことになります。それだけの価値があると皆さんは考えたようです」
「実際にお金を出した人からは、『幼少期から通っていて、影響を受けたからこそ理系の道へ』『次の世代に貴重なコレクションを!』『国を代表する博物館なのに…』というコメントが寄せられました」
「思い出の場所だから、未来のために、という言葉が目立ちました」
■保管場所も人手も不足…使い道は?
有働キャスター
「この9億円はどのように使われていくのでしょうか?」
小野委員
「9億円のうち3億円ほどはクラファンの返礼品に充て、6億円ほどを博物館の事業に使いたいということです。頭が痛いのは、保管スペースも人手も足りないために一部の標本などが整理できず、山積みになっていることです」
「今回集まったお金で新しい収蔵庫を建設し、きちんと保管することでコレクションを充実させたいといいます。さらに博物館同士のネットワークも大事なので、標本のレプリカを他の博物館と共有したり、地方を回って特別展を開いたりしたいそうです」
■世界各国の文化支出と日本の現状は?
有働キャスター
「今回は9億円集まりましたが、この先も寄付頼みというわけにはいかないですよね」
小野委員
「文化財の保護を含む文化支出に、歴史のある国はお金をかけています。2020年度の文化庁資料によると、フランスは約4620億円、韓国は約3438億円。政府予算に占める割合はそれぞれ0.92%、1.24%です。文化や芸術を国の産業として盛り立てていこうとしています」
「日本は1166億円、政府予算の0.11%です。額も、予算に占める割合も少ないのが現状です」
有働キャスター
「日本も歴史ある国なので、もう少し考えられないのかなとは思ってしまいます」
小野委員
「国立科学博物館の館長も『資金があればもっといろんなことがやれる能力があると我々は示してきたのだから、国には認めていただきたいのだが…』と話しています」
有働キャスター
「世代を超えて伝えていくために、と考えて今回は多くの方が(クラファンに)参加しました。持続的に博物館を支えていくためにはどうしたらいいのか、その議論のきっかけになればいいと思います」
(11月6日『news zero』より)