奥能登豪雨1か月…“二重被災”で厳しい生活再建【キキコミ】
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櫻井キャスターは、石川県輪島市の久手川町へ。
○櫻井
「このあたりは畳もありますし、布団も、クリアファイルも見えます。ここに生活があったんだなと感じ取れますね」
○櫻井
「今の川の流れからは、まったく想像できないですね」
1か月前、近くを流れる塚田川が氾濫。
この場所では、中学3年生の喜三翼音さんを含む4人が亡くなりました。
土台だけが残された喜三さんの家には、多くの花束が手向けられていました。
近くに住む畠中ひろ子さん。あの日、自宅の2階から迫る濁流を見ていました。
○近くに住む畠中ひろ子さん(83)
「山津波です。滝みたいになってザーっと流れて、おそろしかったです」
14人が亡くなり、いま1人の行方がわかっていない奥能登豪雨。
434人が避難生活を余儀なくされるなど1か月たった今も、生活に大きな影響が出ています。
朝市通りの近くで30年以上飲食店を営む尾花山哲夫さん74歳。
被災当初、災害廃棄物の仮置き場で棚などの運び出しをしていました。
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「うっすら残っているけど、(水が)ここまで来ました」
○櫻井
「そんなに高くですか?」
あの日、前を流れる川が氾濫し、店を襲いました。
豪雨の翌日に尾花山さんが撮影した映像では、水は引いていましたが、店の前には泥が残り…。
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「店内は想像を絶します」
店の中にまで泥水が流れ込み、ぐちゃぐちゃに…。
1か月たった今は…。
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「だいぶ片付きましたね」
○櫻井
「そうなんですね」
床が見えるようになった店内。
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「壁をはがして、ボランティアさんの力も借りて木の床の下に潜ってもらって、泥をだしていただいた。本当に助かりました。私やスタッフと家内では、とてもじゃないが、できない」
ただ店の再開には、たくさんの壁が…。
乾かしていたのは、泥水につかってしまった店の扉。
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「何回洗っても、白くなって、たぶん元に戻らないです」
○櫻井
「え?」
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「洗っても洗っても、細かい砂が入っていて全然落ちないんですよ、これ以上。衛生上の問題もあるし、今後使うのは難しいんじゃないかと」
また、元日の地震で使えなくなった調理道具を6月の店の再開の際に新調していましたが、今回の豪雨で水没。すべて処分することに…。
○櫻井
「被害総額はどのくらいに?」
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「店舗もいれると相当になります。(新しく)建てるくらいになるのではないか」
店舗の復旧には、石川県から補助金が出ますが基本的に「22年事業を続けること」が求められていて、74歳の尾花山さんには厳しい条件だといいます。
さらにもう1つ、悩ませているのが…。
○飲食店が被災
尾花山 哲夫さん(74)
「このごろは、土砂が後ろから迫ってくる夢が出てきます」
○櫻井
「休まらないですね?」
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「休まらないです。(豪雨は)地震より悪いです。地震は傷んだものを起こしたり、掃き出して捨てれば、ある程度どうにかなりました。(豪雨で)機械が全部ダメになったのが大きいです」
○櫻井
「直後は、心が折れたと…」
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「折れたという感じですね。もういいか、という」
料理人は天職で、尾花山さんはできれば続けていきたいと話しますが…。
○飲食店が被災 尾花山 哲夫さん(74)
「地震で(街には)誰もいない、さらに水害が追い打ちをかけて、果たして、私が営業できても地域全体の復活復興はあるのか。それくらい壊滅的にやられてしまいました。いろんなことが交錯して、なかなか答えがでないです」
(10月21日放送『news zero』より)