【速報】東電旧経営陣の無罪確定へ 原発事故めぐる刑事裁判で最高裁が指定弁護士の上告棄却

福島第一原発の事故をめぐり、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、1、2審で無罪とされた東京電力の元副社長2人の裁判で、最高裁は検察官役の指定弁護士の上告を退けました。これにより、2人の無罪が確定することになります。
いずれも東京電力元副社長の武黒一郎被告(78)と武藤栄被告(74)は、原発の敷地の高さを超える津波を予測できたのに対策を怠り、原発事故で避難を余儀なくされた病院の入院患者らを死亡させた罪などで、検察審査会の議決に基づき、強制的に起訴されました。
1審の東京地裁と2審の東京高裁は2人に無罪を言い渡しましたが、検察官役の指定弁護士が2023年に最高裁に上告していました。
最高裁は5日付の決定で、15メートルを超える津波が襲来する可能性があるとした試算が示されていたものの、試算の基になった国の地震予測(長期評価)については、「積極的な裏付けが示されていたわけではない点がある上、信頼度の評価も低かった」などと指摘。
「10メートルを超える津波が襲来する現実的な可能性を認識させるような情報とまでは認められず、2人にもそうした認識はなかったとした2審の判決が、合理性を欠くと考えるのは困難だ」として上告を退け、2人を無罪としました。
これで、2人の無罪が確定することになります。
この裁判をめぐっては、勝俣恒久元会長も2人とともに強制的に起訴され、1、2審で無罪とされていましたが、2024年10月に84歳で亡くなったため、最高裁は勝俣元会長の裁判を打ち切る決定をしていました。