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まさかこの求人が闇バイト? 求人サイトで正規の求人装う驚きの手口 仕事探す人はどう気をつけるべきか

2024年12月31日 10:00
まさかこの求人が闇バイト? 求人サイトで正規の求人装う驚きの手口 仕事探す人はどう気をつけるべきか

2024年も相次いだ闇バイト強盗。手軽に大金を得ようとあえて闇バイトに応募する人がいる一方、正規の求人を装う闇バイトの存在も明らかに。政府がSNS上の闇バイト求人に緊急対策を打ち出す中、これから仕事を探す人が気をつけるべきこととは?

■相次ぐ強盗…実行役は「ホワイト案件」などと検索

2024年8月以降、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で相次いだ強盗事件。横浜市では、住人の男性が暴行を受け亡くなる事態にまで発展した。逮捕された実行役のほとんどは、Xから闇バイトに応募。楽して大金を得ようと「ホワイト案件」「即日即金」などと検索していたことなどが明らかになった。

■応募フォームに登録、ウェブ面接…正規の求人を装う闇バイトの手口

こうした事態を受け、闇バイト対策が急ピッチで進められている。その一方、新たに登場したのが一般の求人サイトなどで正規の求人情報を装う闇バイトだ。

一見して不審なものとはわからない。捜査幹部によると、ある若者から警察にこんな相談が寄せられたという。その若者は一般的な求人サイトを検索し、一見して普通の求人情報に応募。応募フォームに住所、氏名、生年月日、電話番号のほか、保護者として実母の氏名、連絡先を入力した。その後、相手とウェブ面接をしたが、「詳しいことは現場に来て説明する」と言われ、闇バイトではないかと不審に思った、というものだ。

また、ある中高年の人は、人材派遣の登録をしていたところ、知らない番号から携帯に不在着信があった。人材派遣経由の仕事の依頼かと思いかけ直したところ、電話先の相手から「袋を受け取って届ける仕事。手取り○万円」などと言われたという。派遣登録先に確認してみたところ、仕事の依頼をしていないことが判明。闇バイトの電話ではないかと怖くなり警察に相談したという。

いずれの事例も闇バイトかどうかは定かではないが、そのまま続けていれば闇バイトに加担させられていた可能性はある。こうした不審な求人が、通常の求人サイトなどを通じて行われてしまうケースが出てきている。

■正規の求人を装う闇バイトで逮捕者も

中には逮捕された容疑者が、一般的な求人サイトから応募して闇バイトに加担させられたと供述した事例もある。

宮城県警は、高額な金が当選したなどとウソを言い、その受け取りのために様々な手数料が必要などとして金をだましとったり、出会い系サイトで異性と連絡先を交換するために手続き料が必要などとして金をだましとったりした疑いで、ことし9~11月に特殊詐欺グループ30人を検挙した。

しかしその後の取り調べで、首謀者の男をのぞくメンバーのほとんどが闇バイトで、一般的な求人サイトから「メールオペレーター」という求人情報を見て闇バイトとは思わず応募し、特殊詐欺の「打ち子」として加担させられていたと供述していたことが明らかになったのだ。

警察庁は、闇バイトに加担しそうになっている人の保護を進めている。闇バイトと気づいた段階で引き返し、警察に相談して保護を求めることが必要だったのだが、このように正規の求人にみせかけた闇バイトも実在するのだ。たとえ正規の求人と思い込まされていたとしても、加担すれば逮捕は免れない。

■政府は緊急対策打ち出し「仮装身分捜査」や正規求人偽装への対策も

政府は闇バイトに対抗するため、捜査を加速させることはもちろん、実行役を生まないよう、緊急対策を打ち出した。14項目に及ぶ新たな対策の1つは、捜査員が架空の身分証を使って闇バイトに応募する「仮装身分捜査」の実施だ。 犯罪グループが闇バイトの応募者に警察官がまぎれこんでいるかもしれないと考え、実行役募集がしづらくなる効果も期待できる。

捜査の障壁となっている「シグナル」や「テレグラム」については、第一歩として日本法人窓口の設置を働きかけることを決めた。 Xはアカウント開設時にメールアドレスまたは電話番号を登録するところ、電話番号の登録を必須とし、本人確認を強化してもらうよう働きかける方針だ。

違法な求人対策では、職業安定法に基づき、求人情報で求人者が氏名または名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金を表示しないものは違法だと明確化する。

これにより、SNS事業者は投稿を見れば違法か判断でき、違法なものは迅速に削除できるようになる。警察もこうした違法な投稿を見つけたらSNS事業者に通報し削除を促すことができるのだ。

「タイミー」などの雇用仲介事業者には求人情報の掲載前の審査を厳格化を行うよう指導する。「タイミー」はこれまでアルバイトが始まるまでには適切な求人か全件チェックしていたところ、掲載する前に24時間365日体制で求人原稿をチェックすると発表している。正規の求人を偽装する闇バイトに歯止めをかけるのがねらいだ。

■これから仕事を探す人は何を気をつければいい?

こうした状況の中で、これから仕事を探す人が気をつけるべき点を警察庁の幹部に聞いた。

政府の緊急対策により必要な情報がそもそも載っていないものは違法と明らかになったので、まず応募してはいけないと話す。そのうえで、一見して正規のバイトに見えるものも、載っている名称でしっかりとHPを検索し、その実態まで調べる必要があるということだ。また応募してしまった後で闇バイトだとわかった時は、絶対に犯罪に加担せず、すぐ警察に相談するよう呼びかけている。

最終更新日:2024年12月31日 10:00