SDGs“ゴミを出さない買い物”の仕方
25日から日本でも、SDGsについて国連機関や政府、企業が話し合う会議が行われます。
news every.では、「ミンナができること」を考えます。今回は「買い物」についてです。
注目したのは必要な分だけ買う「量り売り」。そして、この春、日本に上陸するアメリカの全く新しい買い物サービスです。大企業が一体となって取り組む「ゴミを出さない買い物の仕方」を取材しました。
◇
壁一面に並んでいるのはドライフルーツやナッツ、そして、カラフルなチョコレートなどの商品。
2020年12月にオープンした、無印良品で初となる量り売りを中心とした店舗です。(無印良品 東京有明 東京・江東区)
「ピスタチオ、すごい好きなんですよ、私」
50種類以上の商品から中島芽生キャスターが選んだのはアメリカ産のピスタチオ。
好きな量だけ袋に入れます。商品をはかりに乗せると重さに応じて値段が決まります。出てきたラベルを貼ったら、あとはレジへ。20g以上なら1g単位で購入することができます。
そして、中島キャスターが次に試したのはお茶の量り売りです。
「選ぶの悩んじゃうんですけど」
オリジナルレシピでブレンドされた32種類のお茶から中島キャスターが選んだのは、この季節の和菓子をイメージしたお茶。桜の花や葉などが入っています。
「あ!すごい。マスク越しでも桜餅の香りがする!わ~、おいしい!香りがもう」
目の前で調合してくれるので、その場で香りを味わえます。(30g以上10g単位で購入可能)
無印良品・東京有明 宣伝販促担当 周律旋さん
「(量り売りは)お客さまが必要なものを必要な分だけ購入できるので、本当は身近なところからでもできるというメッセージをお伝えしたかったんです」
今、広がりを見せる量り売りでの買い物。東京・国分寺市のカフェ、nue by Totoyaの中には、今年1月、オーガニック食品を扱う量り売りの専門店がオープンしました。
マンゴーやバナナなどのドライフルーツや、料理に合わせたさまざまなタイプの塩など、約50種類の食品があります。
中島キャスターも買い物をしてみました。最初に、持ってきた容器の重さをはかり、その重さをひいてから、お目当てのシチリア産のレモンの花のハチミツ、無添加、無加工、そして非加熱の「ローハニー」を入れてもらいます。
「好きな量、入れていただくことができるんですね」
必要な量、使い切れる量で購入することができました。
ここではレジ袋が用意されておらず、個別の包装もされていません。そのため、お客さんの多くが自宅から入れ物を持参。ない場合でも、繰り返し使える容器や袋を店で購入することができます。
もともとは輸入食品を主に扱っていたこの店では、ゴミを出さない買い物の仕方を日本でも根付かせようと、日本の食卓にもなじみのある有機栽培の大豆を使った醤油なども量り売りにしています。
実は、包装なしで商品を買うことでゴミを減らすことができるほか、生産者の作業の負担も減らします。結果、値段を安く抑えるという、うれしいメリットもあるんです。
nue by Totoya 井川恵太店長
「特に一人暮らしの方とか、パッケージに入ってるものだと使い切れないという方々がお買い求めいただけるので、ゴミを出さない生活スタイルをうちは浸透させていきたいと」
◇
こうした中、この春、新たな買い物サービスがアメリカから上陸します。
普段、プラスチックの容器に入っているガムは、使い捨てでない専用のステンレス製の容器で販売。
ループジャパン アジア太平洋統括責任者 エリック・カワバタ氏
「(プラスチックの容器は)1回使った後は捨てることになる。ステンレスで作ることによって再利用できる」
プラスチック容器に入っているマウスウォッシュは、スタイリッシュなガラス製のビンに、洗剤の容器には、リサイクルをしても劣化しにくい種類のプラスチックが使われています。
容器の条件は、最低でも10回は繰り返し使えること。回収して洗浄、その後、メーカーが再び補充して販売する仕組みです。
これは、アメリカのベンチャー企業が開発した「Loop(ループ)」という、循環型の買い物サービス。大手メーカーが続々と参加していて、オンラインで注文すると、まとめて届けられる仕組みです。
アメリカに加えイギリスなどで、すでにサービスがスタート。世界でおよそ200ブランドの500の商品がすでに販売、またはそれに向けた準備が進められています。
なぜ、多くの大企業との連携が実現したのでしょうか?
ループ創業者・CEO トム・ザッキー氏
「企業がなぜ参加してくれたか。彼らのメリットは商品の革新です。シンプルで質の高い材料で作った容器は、新たな機能を生み出します。例えば、このアイスクリーム。容器は紙ではなく、おしゃれなステンレスでできています。外は温かくなっていますが、中は冷凍状態に保てるのです」
さらに、消費者のメリットについては…
ループ創業者・CEO トム・ザッキー氏
「消費者は、同じような価格で、より環境によく、さらに機能的な買い物ができると思います」
ループのサービスはこの春、日本でも実験的に始まることになりました。オンラインでも購入できるようになる予定ですが、東京や神奈川などにある一部のイオンでは、商品を取り扱うコーナーが設置されることになっています。(東京・神奈川・千葉の19店舗)
日本では、すでに25のメーカーが参加を決めているループ。果たして日本に根付くのでしょうか?
ループジャパン アジア太平洋統括責任者 エリック・カワバタ氏
「日本人はもったいないことはあまり好きじゃない。(ゴミの)問題があるということを意識したら、「どうすればいいか」という選択肢がないと、自分の行動をどう変えていいかわからない。(Loopが一つの)選択肢になりたい」
◇
続々と登場する環境に配慮した買い物の仕方。この春、普段の買い物を見つめ直してみるのもいいかもしれません。