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子宮頸がんワクチン「無料接種の選択肢を」

2021年3月30日 8:42
子宮頸がんワクチン「無料接種の選択肢を」

■「もう一度チャンスを」大学生ら

「HPVワクチンを打ちそびれた年代の人たちに、もう一度、打つチャンスをください」

女性たちが29日、3万人を超える署名の束を厚生労働省で田村大臣らに手渡しました。求めていたのは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染により発症し、ワクチンで予防できるがんと言われる子宮頸がんのワクチンを、無料で接種するチャンスです。

このワクチンをめぐっては、小学6年生から高校1年生相当の女子が無料の定期接種の対象となりましたが、全身の痛みなど重い症状を訴える人が相次ぎ、国からの積極的な接種の呼びかけは一時、中止されました。その後、各地では国や製薬会社を訴える裁判も起こされています。

日本産科婦人科学会の「S.Nakagawa.et al.Cancer Science 2020」によると、接種率は1995年から98年度生まれの人で70%を超えていましたが、呼びかけが中止された2000年度生まれ以降は劇的に低下しました。特に2002年度生まれ以降は、1%未満となっています。

■「知らない間に…」疑問抱く学生

この状況に疑問を感じ、声を上げたのが、無料の定期接種の期間にお知らせが届かなかった世代の学生たちです。

「私、(接種について)何も知らなかったし」「知らぬ間に無料期間が終わってたから、『なんで?』っていう気持ちもあって」と違和感を口にします。

無料期間を過ぎた後は、自費で接種を受けることもできますが、学生たちは「病院によって違うけど、1回1万7000円とかそれくらい」「やばいよね」「高い!」と声をそろえます。接種は3回必要で、自費の場合は4~5万円ほどかかるといいます。

そこで、大学生や産婦人科の医師らがオンライン署名を開始。矢野真奈さん(22)は「打ちたいと思っても打てなかった人たちは自分でお金を払うしかないから、『絶対に打て』とかじゃないけれど、選択肢としてあってほしい」と訴えます。知る機会がなく、打ちたくても打てなかった人たちが無料で接種できるよう、国に求めました。

矢野さん
「私がちょうど中学生の時に、積極的勧奨が中止されて、やっぱり私たちの世代でも『打ちたい』という声は多く聞いているので、そういった方の声を私たちがしっかり届けて、それを受け取ってもらえたら良いなと思いました」

■副反応 国の審議会やWHOの見解は

有働由美子キャスター
「子宮頸がんのワクチンで重い症状が出た少女もいましたが…」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「そうですね。原因は何なのか。当時の厚生労働省の審議会の結論では『薬剤そのものが原因ではなく、注射の痛みによって引き起こされた可能性がある』とされました。コロナのワクチンと同じで、筋肉に打つ注射です。針も痛いですが、薬剤が体に入ってくる際に痛みを感じる人もいるということです。その痛みから、ごく一部でさまざまな症状を引き起こしたのではないかとみられています」

WHO(世界保健機関)も、ワクチンについて見解をまとめています。

小野解説委員
「『接種ストレス関連反応』と呼ばれていて、どんなワクチンでも『接種への不安』『注射の痛み』があり、そのストレスによってしびれやめまい、まひなど様々な症状を引き起こすことがあるということです。専門家の中には、これが子宮頸がんのワクチン接種で若い女性たちに起きたのではないかと指摘する人もいます」

■コロナで重視「経過観察」 当時は

有働キャスター
「どんなワクチンでも起こるということは、コロナワクチンでも?」

小野解説委員
「そうです。コロナワクチンでも、『接種後に一定の時間は待機してもらおう、もし症状が出たら静かな場所で落ち着いてもらおう、丁寧に対応しましょう』と呼びかけられています。今でこそ、こういう対応になっていますが、子宮頸がんの接種が問題になった当時は、こうした経過観察などの対応が不十分だったのではないかと言われています。苦しいのに『気のせいだ』『悩まない方がいい』と言われたり、どこに行って相談したらいいか分からなかったりするような状況がありました。接種した後のケアが大事になります」

■海外では接種率「8割以上」も

小野解説委員
「きちんと事前に説明を受け、本人が納得して接種することも大切です。なお、(子宮頸がんの)予防接種は世界100か国以上で行われていて、イギリスやオーストラリアでは接種率は8割以上です。一方の日本では、最近では1%未満。副反応を訴える人たちの裁判は続いていて、長い間、苦しんでいる方もいます。このため厚労省では、『まずは子宮頸がんやワクチン、検診について知ってほしい』としていて、打つかどうかは、かかりつけ医などに相談するよう呼びかけています」

有働キャスター
「子宮頸がんはワクチン接種により予防が可能ながんです。詳しい情報は厚生労働省のホームページに載っていますが、正直ちょっと見づらいです。分かりやすい情報発信をお願したいですし、本人だけでなく家族やパートナーもぜひ一緒に正しく理解して、判断してほしいと思います」

(3月29日『news zero』より)