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がん患者コロナ感染状況変わらず 抗体に差

2021年6月2日 17:50
がん患者コロナ感染状況変わらず 抗体に差

がん患者とそれ以外で、新型コロナウイルスに感染した割合は変わりませんでした。

国立がん研究センターは、センターの中央病院に通院中のがん患者500人と健常な人(センターの職員)1190人について、去年8月から10月の段階で、新型コロナウイルスに感染したことがある人の割合を感染後にできる「抗体」で調べました。

その結果、抗体がある、つまり、(無症状者含め)感染したことがある人は、がん患者のうち0.4%、健常な人のうち0.42%で、差がありませんでした。

これまでの海外の研究では、がん患者は感染リスクが高いという結果も出ていましたが、がん研究センターは「日本と海外では新型コロナウイルスの感染者数が圧倒的に違い、暴露(ウイルスに接する)の機会も日本より多いことが背景にあるかもしれない。今回の結果で、がん患者さんが、感染対策を十分にしていたことがわかる。今まで通り感染対策を続けてほしい」と話しています。

一方、感染後にできる「抗体」の量は、がん患者の方が健常な人より低い結果でした。

さらに、がん治療の内容ごとに抗体量を調べると、研究参加の1か月以内に抗がん剤治療を受けた患者では抗体量が低く、免疫チェックポイント阻害薬(がん患者の免疫細胞にかけられたブレーキを外して、自分の免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにする薬)を受けた患者では、抗体量が高いことがわかりました。

放射線治療や外科治療の有無による抗体量の差は認められなかったということです。センターは、「抗体量の違いが将来の感染リスクにどう関わるかはまだわからない」と説明しています。

さらに、「新型コロナウイルスのために、がんの治療を遅らせるのでなく、受けるべき治療は受けていただくのがよい」と呼びかけています。

この研究論文が掲載される科学誌には、イスラエルの研究も同時に掲載されるということです。イスラエルの研究では、ワクチンを2回接種したがん患者の90%で、次にウイルスが入ってきた時にたたかう「抗体」ができること、しかし、その抗体量は、健常な人よりも低いことがわかったということです。

がん研究センターは、「健常な人より量が少ないとはいえ、がん患者の9割に抗体がつくということなので、接種できる状態であれば、早めにワクチンを接種してほしい」と呼びかけています。

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