×

苦境同士…「着物」と「飲食」がタッグ

2021年6月12日 12:52
苦境同士…「着物」と「飲食」がタッグ

新型コロナウイルスの影響で、苦境に立つ飲食業界。ビールを作る量が半分に落ちた醸造所や、オープンから1年たたずに閉店を決めた居酒屋なども…。同じく厳しい着物業界は、飲食店とタッグを組んだあるキャンペーンを企画しました。一方で人出の増加や、インド株の拡大も懸念されています。

■ビアレストランもビール出せず…

11日夜、東京・国立市のビール醸造所「KUNITACHI BREWERY」を訪ねました。3つある、ビールを仕込む釜を見せてもらいました。一度で小瓶約3000本分のビールを作ることができますが、新型コロナの影響で稼働は半分になりました。

ここで作ったこだわりのビールを売りにして、併設するビアレストラン「麦酒堂かすがい」では11日から夜の営業を始めましたが、レストランの運営会社取締役は「今(ビールを)出せないので心苦しいです。早く飲める時期が来ればと思います」と言います。

12種類のビールサーバーがずらりと並ぶものの、国の要請に従って今は出番がありません。取締役は「お酒に負けない料理を出して、素晴らしい雰囲気を作って、喜んでいただくというのが使命だと思っています」と話します。

■“インド型”変異株…過去最多 

11日の東京の新型コロナの新規感染者は435人で、感染力の強いインド型変異ウイルスの感染者は13人。1日に確認された人数としては過去最多です。

このうち3人は、インド型変異クラスターが発生した中学校に通う男子中学生で、この学校の生徒と家族の感染者は14人にのぼっています。都内のインド型変異ウイルスの感染者は63人となりました。

東京都の小池知事は11日の会見で「人の流れの増加傾向、変異株の影響を踏まえると、感染の再拡大を最大警戒しなければならない」と訴えました。

金曜の11日、夜の都内の様子を見て回りました。夜9時過ぎの新宿は多くの人でにぎわっていましたが、夜8時すぎの赤坂の飲み屋街は人気はなく、閑散としていました。

■限界…1年たたずに「閉店決断」

赤坂に店を構える、馬刺しが売りの居酒屋「ばち赤坂」を訪ねました。店長は「(ビジネス街という)場所柄もあり、閉店を決断したところです」と言います。去年8月のオープン以来、会社の方針で要請に従い続けてきましたが、限界に達しました。1年たたずして、苦渋の判断をするに至りました。

――通常営業の夜11時までできたのは?

店長
「11か月ほど営業していますが、その間の2か月くらい。(今が)異常な状況なので、この状態が早く収束して終わってほしいという思いです。お店がある間は、丁寧に仕事させてもらうので、来てくださいねと(言いたいです)」

■「着物」で来店…1万円バック

苦しいのは飲食だけでなく、着物業界も同様です。

日本和装・道面義雄社長
「(コロナで)結婚式が延期になったりとか、七五三ができなかったりとか、成人式ができなかったりとか、私ども着物業界は非常に厳しい状態です」

ピンチをチャンスに変えようと、11日、「GoToきものde Eatキャンペーン」の動画撮影が和食料亭を借りて行われました。

苦境に立たされる飲食店に、男性が着物姿で来店し、1人1万円以上のコース料理を楽しめば、1万円がキャッシュバックされるというキャンペーンです。2人で来店した先着100組を対象に、緊急事態宣言の解除日から10日間適用されます。

道面社長
「(特に)男性の(着物の)ニーズというものが非常に少ない。ぜひこれを機会に、『男着物』を一度着てみて、このキャンペーンを利用して、飲食店の普段なかなか足を運ばないような所を利用してもらい、飲食業界も盛り上がっていただきたい」

(6月11日『news zero』より)