負担どうする?社会保障「医療」各党の違いは…【#きっかけ解説】
──増え続ける医療費が問題になっていますね。
医療費は2022年度は約47兆円で、20年前は約31兆円でしたので1.5倍になっています。
この医療費を何で支えているのかを見てみると、私たちや企業などが納める保険料で半分をまかない、税金で4割弱、そして自己負担が1割強となっています。お金はどこからも降ってこないので、この3つでまかなうしかないのです。
──若い世代からは給与が上がらない中、保険料の負担を減らしてほしいという切実な声もありますね。
はい。しかし、この保険料分を減らすとなると、税金や自己負担を増やす必要が出てきます。税金や自己負担をあまり増やせないとなると、医療費全体を抑える方策も必要で、政府が安いジェネリック医薬品の使用を進めているのはそういう事情なのです。
そして、現役世代の保険料が高い背景には、「支援金」というものもあります。医療保険の制度は、高齢者と現役世代では別なのですが、現役世代が納めた保険料を高齢者の医療制度に渡して支援しているのです。この負担が大きすぎるとの声があり、それを減らそうと、「あること」が行われました。
そもそも、75歳以上の高齢者の自己負担は、現役並みの収入がある人は3割、その他の人は1割でしたが、2年前、一定の収入がある人の自己負担を2割に増やしました。これによって、現役世代の保険料は、平均で月に約350円の軽減との試算でした。
反対をおして実施した大きな制度改正でも、この程度の軽減にとどまったということは、さらなる現役世代の負担軽減をする場合、高齢者に新たな負担をお願いできるのかなどの議論が必要になります。
──誰かが負担をしていかないといけない中で、各党が今回の選挙でどのように考えているのか気になりますね。
自民、公明の与党は、「持続可能な全世代型社会保障を構築」を掲げていて、高齢者の自己負担を増やす議論もすることにしています。立憲民主党は、3割負担の高齢者を増やすことには慎重ですが、富裕層に応分の負担を求めるともしています。
共産党は、税金の投入を増やし、70歳以上の自己負担を一律1割に。社民党は、75歳以上の負担を1割に。日本維新の会は、高齢者の自己負担を3割にし、現役世代の負担軽減。国民民主党は、75歳以上の3割負担の対象拡大と富裕層の資産への課税などで現役世代の拠出金を減らす。れいわ新選組は、国の税金で、後期高齢者医療制度の現役世代の負担と高齢者の保険料をなくす。参政党は、国民負担増なしで済むように、医療などに寄付しやすい仕組み作り、と主張しています。