マイ・タイムライン作成で見えてきたものは
東日本を中心に大きな被害が出た台風19号から2年がたちました。台風などに備え、準備するものや避難のタイミングなどをあらかじめ定めておくそれぞれの避難計画「マイ・タイムライン」。杉野真実アナウンサーが実際に作ってみると、見えてきたものがありました。
■2年前に首都圏直撃「台風19号」
──東京・世田谷区の多摩川が氾濫しています。(2019年10月12日)
2年前、首都圏を直撃した台風19号。杉野アナウンサーは日本テレビのスタジオで、刻々と変化する被害の状況を伝えていました。
この台風によって、全国で300を超える河川が氾濫。東京や神奈川など大都市圏を流れる一級河川の多摩川も世田谷区で氾濫し、浸水被害が広がりました。
■自分の命を自ら守る「マイ・タイムライン」とは
当時浸水した地域では、今、対策として堤防ができていました。着々と進む国の対策。一方で、住民が自分の命を自ら守ろうという取り組みが進められています。
その一つが「マイ・タイムライン」です。鬼怒川が氾濫した2015年の関東・東北豪雨をきっかけに始まりました。災害が起きると予測される時刻に向かって、いつ、誰が、何をするのかをあらかじめ決めておく、いわば防災のスケジュールです。
東京大学大学院の松尾一郎客員教授は、各地の自治体でタイムライン作りをサポートしています。この松尾先生の指導を受けながら、杉野アナウンサーが、多摩川沿いに住んでいると仮定し、マイ・タイムラインを作ってみました。
■「マイ・タイムライン」実際に作ってみた
◆3日後に、台風19号と同じ規模の台風が首都圏を直撃すると想定
杉野アナウンサーは、一家4人で東京・世田谷区の多摩川のすぐそばのマンションに住んでいる想定です。
松尾先生「ご自宅で水害・台風が来た時、大雨が降った時は浸水しますか?」
杉野アナ「自治体のハザードマップで浸水の深さが何mになるか確認」
住んでいる場所がどのくらい危険になるのか確認しておくことは、大前提です。そのほかに何が必要でしょうか。
例えば、避難所以外に知人・親戚の家、ホテルなどに避難する場合は、事前に決めておかなくてはいけません。
松尾先生「いきなり親戚の家に行って、入れてもらえますか?」
杉野アナ「その日に『今から行ってもいい?』は迷惑」
◆2日前までに…
台風の進路予測の中に東京が入りました。まだ、雨や風による大きな影響を受ける前です。さて、何をしたら良いでしょうか?
・ニュースなどで台風の情報を確認する
・飛びそうなものをしまう
など、事前にやるべきことが、次々と出てきました。
◆前日
ここで大事なのは、避難のタイミングと手段だといいます。
・祖父母を車に乗せて、親戚・知人宅に避難する
とした杉野アナウンサー。しかし……
松尾先生「車で避難しなかったら、どのように避難します?」
杉野アナ「ヒントをありがとうございます。こういうことですね」
公共交通機関の運行情報を確認することの重要性に気づきました。
台風の直撃が予想される場合、ここ数年、事前に運行を止める「計画運休」が実施されることが多くなってきました。事前に確認しておかないと、いざという時の避難の手段がなくなってしまいます。
■作って実感「いかに早めに考えておくか」
マイ・タイムラインを作成してみて、気がついたことがありました。
杉野アナ「いざ起きた時にやることは、少なくするべき」
松尾先生「余裕持って考えることは絶対できない。その時考えればいいという話ではない。しつこいようですが、いかに早めに考えておくかが重要」