「パパ育休」拡充で収入“100%カバー”……政府が検討 職場環境も課題 取得率100%の中小企業、子どもの数「4.5倍」に
男性が使える国の制度「産後パパ育休」を拡充することで、休む前の手取りを実質100%カバーする案を、政府が検討しています。育休を取得しない理由には金銭面の他、雰囲気や仕事の属人化などの職場環境もあります。取得率が高い企業の工夫を考えます。
有働由美子キャスター
「パパ育休の制度で(収入を)100%カバーする。これを今、政府が検討していることが分かりました」
「子どもが生まれた直後に男性が使える『産後パパ育休』という国の制度では、賃金の67%の給付金をもらえますが、これを80%まで引き上げることを検討しています。社会保険料が免除されるなどで、実質的に休む前の手取りの100%をカバーしようということです」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「2020年度の厚生労働省の調査で、男性社員に育児休業制度を利用しなかった理由について聞いたところ、一番多かったのは『収入を減らしたくなかった』(41.4%)でした。今回、この点について改善していこうということです」
「一方で、『職場が育休を取得しづらい雰囲気だった』(27.3%)、『自分にしかできない仕事や担当している仕事があった』(21.7%)などといった、職場環境に関わる理由も上位に挙がっていました」
有働キャスター
「お金だけではないこうした課題については、それぞれの企業の取り組みが求められますよね」
小栗委員
「そうですね。今年度の育休取得率が93%になった大王製紙では、社員に育休取得までの流れなどがまとまった本を配ったり、男性の育休の必要性について管理職への研修を必須にしたりしています」
「5年連続で取得率100%になっている中小企業のサカタ製作所では、仕事をペアで進めることで、誰が休んでも仕事が滞らない体制にするなどの取り組みで、従業員の家庭で生まれた子どもの数は4.5倍になったといいます」
「どちらも、会社のトップの決断が背景にあったということです」
有働キャスター
「育休を取りやすくすることで、子どもを持ちやすくなっているということですよね」
小栗委員
「内閣府の発表でも、男性の家事育児の時間が長いほど第2子が生まれやすい、ということが分かっています」
有働キャスター
「廣瀬さんは経営者の立場ですが、どう考えますか?」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「僕らのような中小企業は正直、人数がギリギリなので、長期の育休は大変なことはありますが、人数が短期的にいなくなることによって、お互い助け合ったり、スキルが上がったりすることがあるかもしれないなと思っています」
「僕の会社も今、小さな赤ちゃんがいるとか、親のサポートをしないといけないなどいろいろありますが、みんなで助け合ってやっていくと、逆に結束力が高まってきているなと感じることもあります」
有働キャスター
「もう1つ思うのは、女性も休まざるを得ないので、そちらも収入を100%カバーしてほしいです。育休を迷っているという方がいたら、今はちょうど過渡期なので、これを当たり前の文化にしていくためにも、ぜひ前向きに考えていただきたいです」
(3月16日『news zero』より)