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陸自セクハラで隊員“直接謝罪”――元自衛官「一生の傷」「被害者は私だけじゃない」被害から1年超「やっとこの日がきた」

2022年10月18日 10:21
陸自セクハラで隊員“直接謝罪”――元自衛官「一生の傷」「被害者は私だけじゃない」被害から1年超「やっとこの日がきた」

陸上自衛隊で複数の隊員から日常的にセクハラを受けた元自衛官の五ノ井里奈さん(23)が17日、加害者4人から直接の謝罪を受けました。土下座し、涙を流す人もいたといいます。五ノ井さんは隠ぺい体質の改善や被害者に寄り添う体制を自衛隊に求めました。

 ◇◇◇

■加害者が対面で謝罪...「涙も流れた」

17日朝。加害者からの直接の謝罪を前に、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんは「昨日も一睡もできなくて、すごく考えました。しっかり誠意ある謝罪をしてほしいという思いです。怖いけど、しっかり謝罪をもらうために今まで活動してきたので」と話していました。

自衛隊に所属していた頃に受けた、度重なるセクハラ被害を訴え続け、17日に直接謝罪を受けることになりました。五ノ井さんは会見で、「本日加害者4名の方から直接謝罪を受けました。土下座をして私の方に謝罪をしました。やっぱり加害者の方から直接、対面してお話をして謝罪を受けた時は涙も流れましたし、遅いなと思いつつも、やっとこの日がきたんだと」と語りました。

■我慢の限界...入隊から2年で退職

今年6月まで陸上自衛隊に所属し、複数の男性隊員から日常的に卑劣なセクハラを受けてきました。9月の取材では「急に抱きついてくるとか肩組むのは当たり前ですし」と明かしていました。

去年8月には我慢の限界を超えたといいます。「男性隊員が私に首をキメて倒して、そのまま覆いかぶさって腰を振るということがありました。『これ誰にも言わないでね』って」

当時、中隊長に被害を訴えましたが、上官への報告も、事実関係の調査も行われませんでした。自衛隊のその後の捜査で、今年1月、3人の男性隊員が強制わいせつ罪の疑いで書類送検されましたが、5月に不起訴処分になりました。

五ノ井さんは入隊から2年で退職に追い込まれました。

■陸自幹部が謝罪も...「本当に遅い」

その後、第三者による調査を求めるなど、自衛隊の隠ぺい体質を変えるよう求めてきました。9月29日には陸上自衛隊の幹部が、日常的に複数の隊員がセクハラを行っていたことを認め、「大変申し訳ございませんでした」と謝罪しました。

その際、五ノ井さんは「今こうやって認められたというのは本当に遅いと思っています」と語りました。

また「必ず私の方に直接謝罪に来て、行くように(加害者に)言っていただいてもいいですかね?」と問うと、陸上幕僚監部の人事教育部長は「そのようにできるように対応してまいりたいと思います」と応じていました。

■直筆の手紙...「退職に追いやった」

そして17日、セクハラから1年以上がたち、ようやく加害者からの謝罪を受けました。4人中3人は土下座し、涙を流す人もいたといいます。加害者4人からそれぞれ1通ずつ手紙を渡され、五ノ井さんは会見で、直筆で書かれた謝罪の言葉1つ1つを読み上げました。

「陸上自衛官として勤務、活躍したいという夢を私の軽率な行動で壊してしまい大変申し訳ございませんでした」といった言葉がつづられていました。

セクハラの様子を近くで見ていたという上官の手紙もありました。

「入隊してから中隊にすぐになじめるような環境作りをしてきたのですが、その一方で五ノ井さんに対して距離が近すぎ、不快に思わせてしまい深く反省しています。退職に追いやった事実には間違いありません」

「上官という立場でありながら守ってあげられなかったことは深く反省しています」

■五ノ井さん「信じる人への裏切り」

五ノ井さんによると、4人は退職する意向を示しています。謝罪の中では、セクハラの隠ぺいでは、加害者たちが口裏を合わせていたことも発覚しました。

東日本大震災をきっかけに陸上自衛隊に憧れ、入隊した五ノ井さんが勇気を振り絞って訴え続けたセクハラ被害。会見では憤りをあらわにしました。

「私だけが被害者ではなく、信じて待っている奥さんや子どもたちへの裏切りだと思っています」「謝罪をされたから許される問題でもないと思いますし、私の傷というのは一生の傷なので。『一生罪を償って生きてください』とお約束をしました」

■ハラスメント相談が急増...今後は

自衛隊の今後について五ノ井さんは「第三者委員会を立ち上げて、外部からしっかり専門の人をつけて、本当に(被害を)申告された方を辞めさせずに守って、解決に至るような対応を今後考えてほしいと思います」と求めました。

防衛省と自衛隊内のハラスメント相談件数は、2016年に256件でしたが2021年には2311件と急増しています。五ノ井さんは自分のような被害者を守ってほしいと訴えました。防衛省は加害者について「懲戒処分を実施し公表する」としています。

五ノ井さんは会見後、「もう自衛隊に戻ることはないですし、直接的な災害派遣とかはできないんですけど、私は人を笑わせるのが好きなので、いろんな人を笑わせて生きていきたいと思います」と話しました。

(10月17日『news zero』より)