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温暖化対策の“救世主”がピンチ アマモで「しょうゆ」を...高校生の最先端研究にベタバリ【バンキシャ!】

2024年7月22日 9:49
温暖化対策の“救世主”がピンチ アマモで「しょうゆ」を...高校生の最先端研究にベタバリ【バンキシャ!】
海の中に生えている「アマモ」は、海の生き物を育み、二酸化炭素を吸収する役割も果たします。“温暖化対策の救世主”としても注目されている、この「アマモ」が今、ピンチなんです。原因のひとつは、この異常な暑さ。日本全国で減少傾向にある「アマモ」。そのピンチをどう救うのか、桝太一キャスターが「ベタバリ!」しました。(真相報道バンキシャ!


   ◇◇◇

海の中に生えている『アマモ』は、海の生き物を育み、二酸化炭素を吸収する役割も果たします。“温暖化対策の救世主”としても注目されている、「アマモ」が今、ピンチなんです。

原因のひとつは、この異常な暑さ。地球温暖化などの影響で、気温だけでなく、海水温も上がっていることで、アマモが日本全国で減少傾向にあるんです。そのピンチをどう救うのか、最新のAI技術や高校生の驚きの発想を、桝太一キャスターが取材しました。

桝太一キャスター
「飛び立ちました。三浦海岸の方へ向かいます」

アマモがどのくらい生えているのか、上空から調べる。桝キャスターと一緒に調査するのが“アマモの権威”として知られる、海辺つくり研究会理事の木村尚さん。豊かな海を取り戻すため、アマモや海草を増やす活動を25年続けている。そして、見えてきたのが…。

桝キャスター
「まさにこれですね」

木村氏
「これです!」

桝キャスター
「私たちが見たいアマモの森ですね」

木村氏
「そうです!!」

“温暖化対策の救世主”として注目されている、アマモ。その最先端の研究に、桝キャスターがベタバリ!。

今回、桝キャスターたちが調査したのは、神奈川県三浦半島の周辺の海。かつては、“海の森”が多く存在していた。

桝キャスター
「全部アマモですよね?」

木村氏
「全部アマモ」

緑色に見えるのがアマモだ。

木村氏
「やっぱり減ったな」

さらに──。

桝キャスター
「東京エリアを代表する『海の森』があった。見えない…」

木村氏
「なくなっちゃったか…」

およそ20年前の2005年と2024年を比べると、アマモが減っているのがわかる。そこには、海水温の上昇以外にも理由が。

桝キャスター
「海の森が消える理由は?」

木村氏
「近年大型化している台風、波の影響で持っていかれてた。影響としては大きい」

   ◇

気候や環境の変化などで、近年、減少傾向にあるアマモ。その状況を変えようと、取り組む人たちがいる。桝キャスターが取材したのは、アマモの生息地を把握するのにAIなど技術を活用する企業。その仕組みは?

ウミトロン・岡本遼太郎さん
「ここには、アマモが分布」

桝キャスター
「明らかですよね」

ウミトロン・岡本遼太郎さん
「アマモを囲う」

まず、AIにアマモがある場所と、そうでない場所を学習させる。

ウミトロン・岡本遼太郎さん
「(囲った線が)赤くなったので、アマモだとAIに教える。見分けがつきづらい微妙な海の色が混ざった砂浜は、ここはアマモじゃない」

アマモの判別を学習したAIを使ってプログラムを実行すると、AIがアマモだと判別した部分だけが赤くなる。AIが検出したアマモの部分を2005年と比べると、11か所中、10か所でアマモが減少しているのがわかった。

桝キャスター
「AI使って検出するメリットは?」

ウミトロン・岡本遼太郎さん
「現地でアマモがどこに生えているか調べるのは、コストと時間がかかる。これだけあるよ、これぐらい減った、ここだったら残していける、みたいなことがわかるのが、この方法の強み」

人の手だと、およそ2時間かかる作業が、AIを使うとわずか7分ほどで完了。さらに、専門家が現地で調査を行う時間も手間も省くことができ、保全活動の効率化につながるという。

   ◇

そして、もう1人。アマモの保全活動に取り組む“スーパー高校生”が。桝キャスターは、岡山県の漁港へ。

桝キャスター
「よろしくお願いします」

岡山学芸館高校3年生の平岩恋季(ひらいわ・こゆき)さん(17)。高校1年生のとき海洋学習でアマモの再生活動に興味を持ったという。

ことし、海に関わる研究をテーマにした全国大会で賞をとった平岩さん。いったい、どんな研究をしているのか。海に出るというので、ついて行くことに。

地元の漁師の船に乗せてもらい出港。およそ7分後。

桝キャスター
「すごいですね。海面が芝生で覆われているような光景」

ちぎれて海に浮いているアマモ。それを専用の道具を使って回収する。

平岩さん
「本日の目的、アマモの種」

桝キャスター
「つぶつぶですね」

平岩さんたちは、この種を使ってアマモの再生に取り組んでいる。回収作業を桝キャスターも手伝わせてもらう。

桝キャスター
「うわ!思ったより重たい。大量です」

回収したアマモを袋に入れていく。それをイカダにくくりつけて半年ほどおくと、種が取りやすくなるという。これで作業終了、とおもいきや、平岩さんの手には大きな袋が…。

桝キャスター
「ものすごい持ち帰ってきてますけど、持って帰って良かった?」

平岩さん
「そうですね」

平岩さんは持ち帰ったアマモの種を使って、意外な物を造る研究をしていた。

平岩さん
「実物がある」

桝キャスター
「めちゃくちゃ貴重そう」

平岩さんが造ったのは「100%」と書かれた黒い液体。その正体は…。

平岩さんに「開けていただいて」とうながされ、においをかいだ桝キャスターは「あ!しょうゆだね!」「びっくりした!」と驚く。

平岩さんが造ったのは、しょうゆの原料の1つである小麦をアマモの種で100%代用した、アマモしょうゆ。今は量が少なく、研究にも使うため、残念ながら味見できなかったが、平岩さんによると、アマモしょうゆの味は「酸味が強い。ポン酢とちょっと近い。牡蠣(かき)が合うと思った」と話した。

桝キャスター
「なぜしょうゆに?」

平岩さん
「アマモにでんぷんが含まれる研究を発見。何かを作ろうと思ったときに、しょうゆはどうかなと」

そもそも、しょうゆを造るきっかけになったのは。

平岩さん
「(友達に)アマモの話をしても全然知らない、興味ない。すごくショック」

SNSでアンケートをしたところ、回答したおよそ1000人中、6割がアマモを知らないという結果に。そこで、アマモを身近に感じてもらう手はないかとしょうゆを造る研究を始めた平岩さん。将来的には商品化を目指したいという。

桝キャスター
「アマモは私たちの未来に向けて、どういう意味で大切?」

平岩さん
「再生活動を通して、海に興味を持ってもらう。研究をする人たちが現れる。人と海をつなげる役割もあるんじゃないかなと考えています」

(7月21日放送『真相報道バンキシャ!』より)