福井で生活再建へ 歩み出した輪島市の男性 「生きていくために」 能登半島地震から1か月
能登半島地震から1か月。避難生活が長期化する中、輪島市の男性が福井で生活再建を始めました。ふるさとを離れ、2次避難で日常を取り戻そうとする被災者の苦悩と思いに迫りました。(2月1日)
石川県輪島市から避難してきた小坂確之さん(63)。新たに働き始めた福井市の北陸トラック運送で1日、辞令を受け取りました。トラックドライバーの経験を生かし、福井での生活に決意を新たにしています。
■小坂確之さん
「引き締まる思い」
■北陸トラック運送・水島正芳社長
「非常に寒い中で避難所生活されている人に暖かい所での生活や、収入面での心配もあると思うので、全面的に協力できれば」
あの日、最大震度7を記録した輪島市の自宅にいた小坂さん。家は倒壊しました。
■小坂確之さん
「がぁーっと揺れ始めて。全然何が起きたかわからない状態。起き上がろうと思ったら、タンスなどが上に乗っていて。そこらじゅう切って血だらけになって」
全身に傷を負い、避難所での生活が始まりましたが、けがの治療を受けられたのは4日が経ってからでした。避難所に身を寄せた長男と義理の母の合わせて3人で夜間は車中泊でしのぎました。
小坂さんは水産物を運ぶ会社でトラック運転手をしていましたが、港が隆起して漁船が動けなくなるなど、漁業は壊滅的な状況に。勤務先も解散を余儀なくされました。
■小坂確之さん
「魚を扱えないから運ぶものがない。解雇にしてくれと頼んだ」
避難所での長男たちの負担を少しでも軽くしようと、1月9日からは妹が暮らす敦賀市へ単身やってきました。そこで社員寮と仕事を用意するという運送会社の取り組みを知りました。
■小坂確之さん
「まだ落ち着かない。ひとりになるし、知らない土地なので、右も左も分からんし。住まいを提供いただいたので、経験ゼロではないし、持ち前を生かしてできる範囲でやりたい」
部屋に家電や日用品を持ち込み、福井での暮らしが始まりました。
■小坂確之さん
「食べないといけないし、生きてくいくために仕事しないと。誰もみな同じ」
親族が残るふるさとに戻れる日まで、小坂さんの歩みは続きます。