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東京湾、潜ってみると“驚きの光景” 海水温上昇で漁業は“打撃”

2024年4月6日 17:34
東京湾、潜ってみると“驚きの光景” 海水温上昇で漁業は“打撃”

日本近海の海面水温が去年から今年にかけ、記録的な高温となったことがわかりました。こうした海水温の上昇は、東京湾の生態系にも影響を及ぼしています。海の中を調べると、驚きの光景が広がっていました。

■海底に広がるサンゴ、海の人気者クマノミの姿も

記者「一面、サンゴが広がっています」

海底に広がるサンゴ。枝状に伸びているものや、テーブルのように平たいものなど、様々な種類のサンゴを見つけました。

別のポイントではイソギンチャクに隠れる海の人気者、クマノミの姿が! まるで南国の海のようですが、実はここ…。千葉県の沖合、そう、東京湾なんです。

地元の人に話を聞くと…。

かっちゃまダイビングサービス・魚地司郎さん「(サンゴが)30年くらい前に見つかった時よりも、5~6年前から、どんどん(数の増え方が)加速して」

この海でサンゴが増えているそうです。近年の海水温の上昇が影響しているといいます。

筑波大学下田臨海実験センター、アゴスティーニ・シルバン助教「水温が上がれば、サンゴの成長(速度)が上がる。暖かい海のサンゴが越冬できて、大きくなって数も増えている」

暖かい海を好むサンゴは、そのほとんどが東京湾の寒い冬を越せないといわれていましたが、ここ数年の海水温の上昇によって、越冬が可能になり、その数を増やしているそうです。

■高級魚でにぎわった漁港…この10年で水揚げ半減

一方で、漁業には困った影響が出ていました。

鋸南町勝山漁協・平島孝一郎組合長「(取れる)魚が熱帯系。暖かい海の魚が増えている」

勝山漁港は、かつては煮干し用のイワシやキンメダイなど、高級魚の水揚げで、にぎわった場所。海水温が上がり、取れる魚が変わったことで廃業する漁師が増え、水揚げ量はこの10年で、ほぼ半減したといいます。

そんな中、先月、沖合いの海水温が珍しく下がっていると聞き、漁に同行しました。漁場に到着し、網を引き上げると…。

記者「あがってきました。ものすごい数のイワシです」

かかっていたのはイワシ。今では珍しくなった大漁に、漁師たちからは笑みがこぼれます。この日に取れたイワシは、およそ30トン。去年3月の漁獲量を1日で上回る量です。

鋸南町勝山漁協定置部・広瀬正幸船長「ここ何年かを考えると、珍しいかもしれませんね。(Q.イワシがとれたのはいつから?)1週間くらい前。それまでは全くない」

しかし、水温が上がれば、またイワシがいなくなってしまうという懸念も。

広瀬船長「(海水温が)上がったり下がったり、急激に動くのも、よくない。自然がそのようになっているなら、漁師は合わせていくしかない」

海水温の記録的な上昇により、変わる東京湾。人々の暮らしにも影響が出ています。

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