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約300機関総勢4800人以上参加 国と県合同の原子力防災訓練 能登半島地震を教訓にした訓練も

2025年2月17日 19:22
約300機関総勢4800人以上参加 国と県合同の原子力防災訓練 能登半島地震を教訓にした訓練も
 国と県が合同で行う原子力防災訓練が17日まで3日間行われ、約300機関、総勢4800人以上が参加しました。今回の訓練では、道路の寸断で集落の孤立が相次いだ能登半島地震を踏まえ、空からの救助訓練も行われました。

 原子力防災訓練は17日までの3日間の日程で行われ、自治体や九州電力、住民など約300の機関から総勢4800人以上が参加しました。訓練は、薩摩半島西方沖を震源とした最大震度7の地震により川内原発1号機、2号機の原子炉が停止し、外部電源が喪失。放射性物質が漏れ出したという想定です。

 1日目は川内原発の管理区域内でケガをした人の除染作業や原発内の状況について伝達する訓練が行われました。

(塩田知事)
「川内原子力発電所の状況について今後の事態の進展に備え情報収集につとめてください」

 県は災害対策本部を立ち上げ、非常時の情報収集や避難指示の拠点となるオフサイトセンターの立ち上げ、放射線量を測定するモニタリングなどの対応を確認しました。

 2日目は設備の故障が続き、非常用の炉心冷却装置による注水ができない状態になり、緊急事態宣言が出されたという想定で行われました。

(石破総理)
「緊急事態宣言を発出します」

 オフサイトセンターでは国や県などの担当者が、原子力規制委員会や薩摩川内市などとテレビ会議を行い、現状の報告や、今後の対応などについて協議しました。

薩摩川内市水引地区では、住民約20人が、計画されていた避難所へ避難できない事態を想定して、代わりの避難所に避難する訓練を実施。また、水引小学校では携帯会社などが参加し、スマートフォンなどの通信手段を確保するために移動基地局を設置する訓練も行われました。

能登半島地震を教訓にした訓練も行われました。

(記者)
「倒壊した家の中に住民がいることを想定して消防隊が救出する訓練を行っている」

 能登半島地震では幹線道路が寸断され集落の孤立が相次ぎ、救助活動も思うように進みませんでした。こうした事態を想定し、ヘリを使って倒壊した家屋から救助する訓練も行われました。さらに、放射線量を観測する装置が計測できなくなったことを想定し、無人航空機を利用して計測するシミュレーションも実施しました。

 最終日の17日、放射性物質の付着を調べる検査場が設けられ住民が避難の手順を確認しました。

(参加した住民)
「訓練通りにはいかないかもしれないけどある程度頭に入っていると、いろんな人に教えられる。こういう風に逃げるんだよって教えられるのでありがたかった」
(参加した住民)
「現実は大変でしょうね。前もって日程を詰めたうえでの訓練。突発的に起きたときは厳しい」

 また、17日日は塩田知事が訓練の現場を視察。孤立した地域に向かうために造られた臨時の橋や、陸路では避難が出来ない住民を船を使い避難する訓練を見て回りました。

(塩田知事)
「国の機関との手順等の確認、連携の強化、住民のみなさんの防災意識の向上と共に一定の効果があったと思う。今回の訓練でいろんな課題も出てくると思うのでそういうことも含めて今後また活かしていきたい」

 2013年以来、12年ぶりに鹿児島で行われた国の原子力防災訓練。東日本大震災だけでなく、この間に発生した熊本地震や能登半島地震の教訓をどのように生かしていくか。新たな課題と向き合う3日間となりました。
最終更新日:2025年2月17日 19:22
鹿児島読売テレビのニュース