【漁村留学】「また帰ってこられる場所」横浜から人口1000人の石巻・雄勝町へ… 中学2年生が2年間の“漁村生活”で得たものとは <宮城・石巻市>
宮城県石巻市雄勝町で進められている取り組みが地域外の生徒を中学校に受け入れる「漁村留学」。神奈川県横浜市から親元を離れ、2年間を過ごした川村貴羽さん。今回、雄勝町から巣立った。
仙台から車で約2時間。リアス式海岸に面し、豊かな海と山に育まれる石巻市雄勝町。
小・中合わせて約30人が通う雄勝小・中学校。神奈川県横浜市からこの学校に入学した川村貴羽さん。今年3月、2年間を過ごしたこの学校を離れる時が近づいていた。
<中2・横浜市出身 川村貴羽さん>
「(留学にきて)自分で考えることとか、なにかをやってみたいっていう気持ちが強くなったなと思います」
2年前、雄勝町で始まった「漁村留学」。自然体験プログラムなどを提供する公益社団法人モリウミアスが手掛けるもので、子どもたちは親元を離れて雄勝町の学校に通い、地域の伝統行事などにも触れながら生活する。
漁村留学1期生の貴羽さん。留学が始まったばかりの頃は不安も。
<記者>
「きょうの朝ごはんは何ですか?」
<当時中1・横浜市出身 川村貴羽さん>
「スープとウインナーと揚げ浸しとポテトサラダです。」
料理をすることも、洗濯をすることも、そしてお風呂を準備することも、すべて自分たち。
<当時中1・横浜市出身 川村貴羽さん>
「楽しいけど、友達に会いたいです。やっぱ環境とかも変わったから慣れないこともあるけど学校は楽しいです。」
日々の中心となる学校にも徐々に馴染んでいった貴羽さん。学校生活だけでなく地域にも溶け込み、震災の影響で人口が4300人から約1000人にまで減ったこの町の「新たな風」となった。
<雄勝町の住民>
「なにかあればこれ食べさせたいなって言って子どもたちにこれ持ってって食べさせて~って」
「モリウミアスの子どもたちが孫のような感じがしてね」
元々1年のつもりのところを延長し、2年間を雄勝で過ごした貴羽さん。高校受験に向けて本格的な準備が始まる今、地元・横浜に帰ることを決心した。
<中2・横浜市出身 川村貴羽さん>
「実感わかないですね、あんまり。」
<記者>
何が一番思い出ですか?
<中2・横浜市出身 川村貴羽さん>
「2年間ですか?え~…。なにっていうよりは日常的にくだらないことしてるのが思い出じゃないですか」
この日、学校では貴羽さんのために「お別れ会」が開かれた。
2年間の頑張りを讃えて送られた修了証書。
<雄勝小・中学校 遠藤安孝校長>
「一人一人の個性をよく理解しそれを最大限生かすために工夫して、新たな雄勝の風を吹かせた功績を讃えるとともに、今後もたくましく生きることを願いこれを賞します。」
勉強も、部活も、行事も全力で取り組んだ2年間。雄勝で積み重ねてきた何気ない毎日は、貴羽さんにとって宝物となった。
<中2・横浜市出身 川村貴羽さん>
「私が雄勝中学校に入学してからもう2年が経とうとしています。へんてこな挨拶をしたり、練習試合を組んでもらったり、先生の口癖を2年生の流行語大賞にしたり、様々なことがありました。もうすぐ雄勝を旅立つと思うと、 不安もあります。でも、雄勝で得た経験を地元でも生かしていきたいと思います。お世話になりました。ありがとうございました。」
そして迎えた旅立ちの日。2年間を支えてくれた仲間たちが集まってくれた。
<中2・横浜市出身 川村貴羽さん>
「すごい濃い2年間でずっと思い出に残っていくだろうなと思っています。また帰ってこられる場所、自分の居場所があるところだなと思います。」
学校に馴染み、自然と触れ合って、地域に溶け込む。2年を過ごした雄勝という場所は貴羽さんにとって“もうひとつのふるさと”になった。