【特集】大地震…「水」は大丈夫?「水道の防災対策」を徹底取材!家庭でできる「新たな備え」とは(every.しずおか)
能登半島地震から2か月が過ぎ、被災地では停電がおおむね解消された一方で、水道の復旧は難航を極め、今なお、1万8000戸以上で断水が続いています(3月1日現在)。
大地震が起きたときに私たちの“水”は大丈夫?静岡市で進められる水道の防災対策に迫ります。
静岡市は、能登半島地震の発災翌日から現地に職員を派遣し、給水活動や下水道施設の被災調査など支援活動を行ってきました。
静岡市上下水道局の平田さんは、2月に珠洲市に派遣され、市内十数か所の給水拠点に浄水場から水を運ぶ作業を行いました。
(静岡市上下水道局 平田 彰一郎さん)
「道が非常に悪くて、倒壊した家屋とかまだ残っている状況で、実際に水を配りに行っても、復旧が進んでないと感じました」
そして、水道施設に関しては…
(静岡市上下水道局 平田 彰一郎さん)
「やはり水道管の耐震化は急務。現地を見て思ったのは、基幹管路が損傷していない状況が復旧を1日でも早める方法、静岡市も参考になった」
震災から水道を早期復旧させるポイントは、配水場などからつながる太く主要な水道管「基幹管路」を耐震化させ、その被害を最小限に抑えることですが、静岡市での耐震化率は約4割と、全国平均と比べても高いとは言えません。耐震化の工事も進められてはいますが、莫大な費用と時間がかかるため、一朝一夕にはいかないのが現状です。
その一方で、災害時にも市民に水を提供できる仕組みが!
(静岡市上下水道局 平田 彰一郎さん)
「耐震性貯水槽や給水栓付受水槽を最大限活用して水を切らさないような体制づくりが必要だと強く感じました」
災害時にカギとなる「耐震性貯水槽」。その1つは、常磐公園の中にあります。
(静岡市上下水道局 阿部 弘一郎さん)
「こちらが耐震性貯水槽のポンプの収納庫。本体は地面の下に埋まっていて、約1万人の3日分の飲用水となります」
このような「耐震性貯水槽」が、静岡市内に42か所。これで125万人の3日分の飲料水がまかなえます。
さらに、市内の小中学校など92か所には「給水栓付受水槽」が設置され、ここから直接水を利用することができます。
この「耐震性貯水槽」を製造しているのは、静岡市清水区の会社で、全国で180を超える納入実績があります。
(カナサシテクノサービス 水槽事業本部 望月敏秀 本部長)
「こちらが耐震性貯水槽の実機になります。こちらは静岡市など公共水道事業者に納める製品の約10分の1のサイズ(1000人×3日分)。主に民間のマンションや公的な施設に納める製品になります。地下に埋設された水槽なので、(水道管から)絶えずフレッシュな水が水槽の中をかくはんしながら循環して、常に水質を安定して維持できる水槽になります」
「耐震性貯水槽」などの存在は安心を届けてくれますが、やはり大切なのは各家庭での水の備蓄です。
(静岡市上下水道局 平田 彰一郎さん)
「人間は生きるために1日ひとり3ℓ必要だといわれていますが、できれば自助の協力として、ひとり1日3ℓを7日分は備蓄してほしい」
4人家族で考えると、84ℓとなります。しかもこれは、飲料水として必要な量で、洗濯やトイレに使う生活用水は、更に1人1日あたり10ℓ以上必要との試算もあり、4人家族で280ℓです。
そこで、備えておくと役立つと思われるのが…
(三和建設 井出雅士 代表)
「こちらが雨水タンク。150ℓの水が入る大きさ」
飲料水にはなりませんが、雨水を貯めておくことで災害時に生活用水として利用できます。
(三和建設 井出雅士 代表)
「この大きさで設置費用 約10万円(工事費込み)くらい、1日で取り付けが可能です」
県内の自治体の中には設置に助成制度を設けているところもあります。
また、設置する家庭が増えているエコキュートも、このタンクから非常時に水を取り出すことができます。
(三和建設 井出雅士 代表)
「非常時に、取水栓をひねることで水をとることができます。370ℓ入っています」
災害時に私たちの命をつなぐ大切な“水”。家庭での備蓄と、給水ポイントの確認が重要となりそうです。
(静岡第一テレビ every.しずおか 2024年3月4日放送)