【特集】“ストップ!女性と若者の流出” 県の人口減少対策は 魅力ある職場づくりに取り組む企業の支援は ≪新潟≫
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新潟県の人口は1997年に249万人とピークを迎え、その後は減少傾向となり2024、戦後初めて210万人を割り込みました。
県はその対策の一つとして「女性にとって魅力ある新潟の実現」を掲げています。その実現には何が必要なのか取材しました。
人口減少の要因となっているのが若者や女性の流出だといいます。新潟大学で関東を目指す学生の本音を聞きました。
〈創生学部・1年生・新潟出身〉
「新潟県内ではなく、関東とか、 最新の情報が集まっている所に 行きたい」
〈工学部・2年生・新潟出身〉
「えー埼玉、神奈川新潟以外がいいです。いっぱい楽しい所あるから」
〈教育学部・3年生・新潟出身〉
「私は新潟で働きたいと考えているんですが、周りの友達は地元に戻ったり、 東京で働くと聞きます。働きたい職種や企業が東京に行かないとない職業もあるみたいで」
地元の大阪に戻りたいという学生からは切実な意見も……
〈法学部・1年生・大阪出身〉
「アルバイトでも(地方の)最低賃金が50円ぐらいは違うので、 普通の仕事でも違ってくるのかなと思っています」
1月、国の人口移動報告が発表されました。それによると、新潟県は2024年、転出が転入を上回る「転出超過」となりました。その数は5782人。全国で9番目の多さです。男女別、年代別に見てみると、女性は男性よりおよそ1.5倍多く転出していました。特に20代の女性が多く転出しています。人口の定着には特に若い女性に選ばれる必要があるのです。
女性が多く活躍しているという加茂市にある「小柳建設」のオフィスを訪ねました。広がっていたのはまるでカフェのような居心地の良い空間。固定のデスクはなく、社員はそれぞれ自由な場所で働いていました。ソファ席で仕事をしていたのは総務部のメンバーです。
入社前説明会の相談が始まりました。隣にいたPR担当の社員にすぐさま相談。垣根のない環境でスムーズに業務を行っていました。
総務部で活躍する伊原友恵さんは入社12年目で管理職を任されています。いま、3歳の子どもを育てながらフルタイムで働いています。
〈入社11年目〉
「本人目の前にして言うのもあれなんですけど、すごく話しやすくて、同性と言うのもあると思うんですけど、すごく気さくに何でもプライベートのことでも仕事のことでも何でも話せるなと思います」
〈入社2年目〉
「(性別)関係なく皆意見を言い合って同じ目標に向かって頑張っているなというのはすごく感じてます」
〈小柳建設 総務部チームリーダー 伊原友恵さん〉
「2024年からファミリーサポート休暇という制度だったり、1時間単位で有休が使えるようになったので、自分自身が子どもを育てながら仕事をしてみて、こういう働き方ができるんだというのを、これから入社する年下の世代に、目指してもらえるきっかけになれるといいなと思っています
現在、女性の活躍を推進する企業は国から「えるぼし」という認定を受けることができます。小柳建設は県内ではわずか2社のトップクラスの認定「プラチナえるぼし」を取得。女性の社員や管理職の割合が平均値を上回っていることなどが評価されました。
2月17日、新年度予算案を審議する新潟県議会2月定例会が開会しました。
〈花角知事〉
「本県の少子化の遠因となる若者や女性の流出が続く中、若者や女性が活躍できる地域づくりを推進し、東京圏等の若者や子育て世帯の更なる呼び込みなど、本県への人の流れの創出・拡大を図ることも重要です」
新潟県は予算案の中で、「女性にとって魅力ある新潟の実現」に向け予算を拡充。8400万円計上しました。知事が提出した予算案。その中身をチェックするのが県議会議員です。
〈記者リポート〉
「県議たちが続々と集まってきました。53人中、女性県議は5人だけです」
数少ない女性県議たちはこの現状をどう感じているのでしょうか。
〈真政にいがた・柴山唯県議〉
「まだまだ少ない部分があるので、 責任が重たいのもあるが、もっと発言も含めて仲間が多かったらいいなと思っています」
〈自民党・荒木法子県議〉
「県議会に多様性というか男女の比率が改善することで、届けられる声の幅が広がってくると思う。皆さんが生きやすいというか楽しく暮らせる新潟県を、県の皆さんと議員の皆さんと地域の皆さんと協力しながら作っていきたいなと思っています」
〈公明党・安沢峰子県議〉
「若い女性が(首都圏に)行ったまま帰って来ない現象が、 新潟県だけでなく地方が一番抱えている問題。女性も一緒に働ける新潟だと、変えていかないと、新潟に戻って来ていただけないのかなと感じてます」
新潟県議会議員の女性の割合は9.4%。都道府県別では全国38位で全国平均を下回っています。
女性の活躍を推進する「えるぼし」の認定を受けている小柳建設。新潟県内の認定企業は78社で全国5位の多さです。新潟県は1位に引き上げるため、職場づくりに取り組む企業を支援する方針でそのための費用を新年度予算案に計上しています。
作業服の若手社員が仕事の相談をしていました。こちらの女性は入社2年目の坂井真唯さんです。坂井さんはいま建設の施工管理……いわゆる現場監督をしています。もともとは男性が多い建設業界。業界全体で女性にも働きやすいような環境整備が進められているといいます。
〈坂井さんの先輩〉
「うちの会社でも、現場内に女性専用のトイレを置いたり、事務所内に休憩・更衣スペース を区切っているので、男女関係なく、現場は働けるような環境がだんだん整ってきてるかなと思います」
目の前の仕事に集中できる環境でのびのび働けているといいます。
〈小柳建設 坂井真唯さん〉
「いま正直、結婚は考えてないけど、結婚した後でも、うちの会社は 子育ての育休の取得率が100% だったり、ファミリーサポート 休暇ももらえたりするので、手厚いと思う。しっかりサポートしてもらえるので(将来への)不安はないかなと思います」
将来の夢は……
〈小柳建設 坂井真唯さん〉
「施工管理でばりばり所長とかもやってみたいなと思うので、今のところは施工管理の道を極めたいと思っています」
女性が働きやすい環境を整えることは社員全体の活躍の場を広げることにつながっているのです。
〈小柳建設 小柳卓蔵 社長〉
「ジェンダーうんぬんよりも、みんなが活躍してほしいし、力のある人が(活躍できる)仕事をしてもらったらいいというところから取り組みが始まっていった。女性だけでなくてすべての方が 新潟で働けて良かったなという、 県内に人が定着していくという ところに微力ながら貢献していけたらいいのかな」
若者や女性に選ばれる新潟の実現へ……県の予算が企業の取り組みを後押しします。