「“一朝”でゼロになることも」 サクランボの凍霜害防止を呼びかけ 山形でキャラバン開始
山形県内は先週末から各地で暖かさを増しており、24日の鶴岡市では最高気温が20度を上回りました。こうした中、心配されるのはサクランボの凍霜害です。生育が早まることでそのリスクが大きくなるとされています。県は25日、凍霜害防止を呼びかけるキャラバンを開始しました。
上山市で行われたキャラバンの出発式には県やJAの関係者らおよそ40人が参加しました。
サクランボの凍霜害は霜が降りることでめしべが凍り、枯れてしまう被害で、発芽から10日が過ぎ花芽が膨らみ始めた頃から開花までの間が最も霜に弱いとされています。品種別に見ると、特に生育の進みが早い「紅秀峰」と「やまがた紅王」が霜の被害に遭いやすいということです。
県内では4年前の2021年に凍霜害が多発。被害額はおよそ130億円に達し、過去最悪となっていました。
去年は霜の被害がほとんどなかったものの、温暖化の影響でサクランボの生育は年々早まる傾向にあり、寒の戻り”による霜のリスクも次第に高まっています。
県によりますと、ことしのサクランボの生育は今のところ平年並みですが、今月下旬に入り、平均気温が高くなっていることから、生育が早まる可能性があるとしています。
こうした中、キャラバンのメンバーは25日、上山市内ですでに霜対策を行っているサクランボ畑2か所を巡回しました。
枝松博さんの畑では気温が4度を下回ったときは高所に取り付けた送風機で暖かい空気を地表に送るようにしているほか、気温が1℃を下回るときにヒーターを使用して霜を防いでいます。また、小型気象センサーを設置し、畑の気温をタブレット端末でモニタリングしています。
枝松博さん「凍霜害が起きると”一朝”でゼロになってしまう。できるだけ霜の被害を少なくするために早めにストーブの火を点けて霜の被害を少なくしたい」
一方、須田和弘さんの畑では水が凍る際に放つわずかな発熱を利用して、木の上から水を撒き続けて凍らせ花芽付近を”0℃”に保つ霜対策を行っています。
須田和弘さん「ことしも凍霜害からサクランボを絶対に守るという意気込みで対策している。サクランボが山形に入ってから150年という記念の年。それに合わせて豊作で終わるように頑張りたい」
枝松博さん「消費者の皆さんからサクランボを食べてもらった後に『ことしおいしかったよ』と言われるのが一番の慰め。深夜の作業は少々眠い時もありますが頑張っていきたいなと」
県農業技術環境課 本田浩央さん「サクランボは山形を代表する果物。凍霜害対策は良い実を成らせるための第一歩のところだと思う。県としては技術的な対策をしっかり生産者にお伝えして素早く情報を出す。霜も高温もしっかり対策を立てて現実的な支援を生産者にしていけるよう進めていきたい」
県では各地に設置されている気象センサーを活用した、「低温アラート」のメール配信を3月21日から始めていて、霜対策に活用するよう呼びかけています。