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【図解】五輪代表選考 クライミングは『複合』と『スピード』の2種目 8月世界選手権で最速内定

2023年8月8日 12:01
【図解】五輪代表選考 クライミングは『複合』と『スピード』の2種目 8月世界選手権で最速内定
左から安川潤選手、大政涼選手、楢崎智亜選手、森秋彩選手
東京五輪で初めて五輪種目に採用されたクライミング。野中生萌選手が銀メダル、野口啓代選手が銅メダルに輝き、パリ大会でもメダルの期待がかかります。

今回は、パリ五輪出場までのプロセスを紹介します。

■2023年世界選手権の上位者が最速で内定

東京大会では『ボルダー』『リード』『スピード』の合計で争う複合の1種目でしたが、パリ大会での複合は『ボルダー』と『リード』の2つの合計。『スピード』は複合から外れ、単独種目になります。

複合でパリ五輪に出場できるのは、男女各20人(開催国枠・ユニバーサリティ枠含む)で、各国・地域で最大男女2人ずつが出場権を手にできます。

まず8月の世界選手権の上位3人が出場枠を手にし、その後行われる各大陸選手権のトップ選手に出場権が与えられます。

また2024年3~6月に行われる五輪予選大会シリーズ3大会の結果で、上位10人に出場権が割り当てられます。

スピードでは男女各14人(開催国枠・ユニバーサリティ枠含む)がパリ五輪に出場できます。

選考の順番は複合と同じで、それぞれ内定する人数が、世界選手権で上位2人、大陸選手権で各トップ選手、五輪予選大会シリーズで上位5人となります。

■楢﨑智亜は男子複合に専念

男子複合の注目選手は、五輪の雪辱に燃える楢崎智亜選手。

楢崎選手は東京五輪で惜しくも4位でメダルを逃しました。雪辱を誓うパリ五輪に向けては、『トモアスキップ』を考案するなど第一線で活躍していたスピードをやめ、複合に専念しています。

楢崎選手の持ち味は、跳びはねるようなダイナミックな動きで、鍛え上げられた鋼の肉体がそれを可能にしていると言います。さらに苦手克服のために意識しているのが肩甲骨の動き。「僕はダイナミックな動きがすごく得意なので、ジワジワ行く動きが苦手。大きく跳ぶ動きは肩甲骨を使って反動で跳ぶ。静的な動きは肩甲骨を固めた状態でキープして上がる。大きい大会になると難易度が高くなってきて、跳ぶと反動がある分、手の負荷が高くなる。そこがうまくはまらない時に負けてしまうことがあるので、穴を潰すために意識してやっています」と語っています。

■リード世界女王・森秋彩

女子複合の注目は森秋彩(もりあい)選手。

2003年生まれの19歳ながら、12歳で出場したリードジャパンカップで初優勝。以降、2023年までの7大会で4連覇を含む6度の優勝を誇ります。

森選手の強みについて、東京五輪銅メダリストの野口啓代さんは「持久力だけでいったら間違いなく世界一」と絶賛し、「指が細くて手が大きいのが一番クライミングに向いている」と語ります。

8月の世界選手権ではリード種目で、日本人男女通じて初の金メダルを獲得。パリ五輪の出場権をかけ複合にも臨みます。

■スピードでは日本記録を塗り替え続ける2人に注目

スピードでの注目選手は大政涼選手と安川潤選手。

東京五輪にも出場した楢崎選手が日本記録を持っていましたが、この2人によって、その記録が次々と塗り替えられていきました。

楢崎 5秒72 2021年3月
安川 5秒69 2022年5月
大政 5秒61 2022年6月
大政 5秒58 2022年7月
大政 5秒42 2022年8月
安川 5秒40 2023年1月
安川 5秒38 2023年3月
安川 5秒33 2023年3月
大政 5秒31 2023年4月
安川 5秒22 2023年5月
大政 5秒14 2023年6月

6月のジャパンツアー2023では、当時の日本記録保持者(5秒22)である安川選手と大政選手が直接対決すると、大政選手が5秒14で日本新記録をマークし優勝しました。

さらに大政選手は翌月のワールドカップ、スピード種目で日本人男子史上初の表彰台となる銅メダルを獲得しました。