田中希実 今季ラストレースで日本人トップも葛藤「強い気持ちは持っているけど…」
◇エディオン ディスタンスチャレンジin京都2022(10日、たけびしスタジアム京都)
レースはタイムレースで行われ、女子5000mのA組には、昨夏の東京五輪、今年の世界選手権(アメリカ・オレゴン)代表の田中希実選手、廣中璃梨佳選手、萩谷楓選手らが出場。来年8月に開催される、世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の参加標準記録(14分57秒00)の突破を目指しました。
レースは序盤からハイペースで進み、ペースメーカーのすぐ後ろに萩谷選手、廣中選手、田中選手がつき、積極的な走りをみせます。
最初の1000mの通過は、2分56秒75、2000mは5分57秒55と、日本記録を上回るペース。
中盤は、廣中選手と田中選手が競り合うようにレースを進めます。
3000mを9分切るペースで通過すると、廣中選手が少し後退。一方、田中選手は外国人選手に積極的に食らいつきます。
終盤は、ややペースが落ちたものの、最後まで粘りを見せた田中選手が日本人トップの5位。しかし、15分06秒42で世界選手権参加標準記録の突破はなりませんでした。
レース後、田中選手は「強い気持ちは持っているけど、体がついてこないレースだった。練習では15分も切れないようなイメージだったが、目指していかないといけないのは参加標準なので、できるかできないかより、まずはやってみることを意識して走った」とコメント。
あまり練習ができていない中で臨んだという、今回のレース。
「“整わなければ出なければいい”という思いもあってエントリーしていたが、私の性格上、エントリーしていたら、整わなくても出てみようかな、となってしまう。レースに出たら、タイムが出なくても何か新しい発見があるかもしれないということで今日は出た。練習以上の力は出せたかなとは思うが、やっぱり持っていない力は出ないというか。コーチは自分のことは信じてくれていて『力は落ちてない』と言ってくれるが、私自身は力が落ちていると思ってしまって…」と、葛藤を口にしました。
田中選手は、これが今シーズンラストのトラックレース。
「今シーズンは自己ベストも出たが、自分のなかでベストな状態で臨めた大会が一つもなかった。経験はたくさんできたが、経験として取り入れる自分のキャパがない状態で、たくさんの経験をしたので、ただただ目の前のことをこなすことに必死な1年だったかなと思う」と振り返りました。
次のシーズンに向けては、「(今シーズンは)アメリカ、ケニア、ヨーロッパ、たくさんの国に行けたので、そのなかでも“ここよかったな”という部分を取り入れて、経験しに行くだけじゃなくて、そこでしっかり力をつけるんだという感覚をもって臨んでいきたい。今シーズン取り組んだ中で、何を残したいか取捨選択して、しぼっていいところだけを取り入れて、よりよい1年にしたい」と前を向きました。
◇女子5000m結果
5位 田中希実 15分06秒42
8位 廣中璃梨佳 15分17秒30