【会見全文】羽生結弦プロ転向表明2 競技者“第一線”退く
フィギュアスケート五輪連覇の羽生結弦選手が19日、会見を開き、第一線を退いてプロに転向する考えを表明。
「4回転半ジャンプも成功させて、それを皆さんと共有できたり皆さんの前で成功させられたらいいなと強く思っています」と、4回転半ジャンプへの思いを語りました。
▽以下、羽生結弦選手の一問一答
――ここまでの選手になれた自分にしかなかった特徴は?
自分でそういう実感があまりないので分からないんですけど、今この場所にいる羽生結弦としては、客観視してすごく遠くからカメラさんがいる場所からとか、自分の上から見たら羽生結弦ってどういう存在かなと思うと、たくさん応援していただけるからこそここにいるんだなというのは思うんですね。
別に羽生結弦が何かを持っているとか、僕自身が何かをしてきたからとかではなくて、いろいろな環境の変化があったりとか、いろいろなことで自分の演技を見ていただいたり、自分の発言をさせていただく場所があったり、聞いていただく場所があることによって僕は特別応援していただける本当に運のいい人間なんだなと思っていて、それが僕自身も「もっと頑張っていかないといけない」とか、よりいろいろなことを考えたりとか、「どんな言葉がいいのだろう」とか、「どんなことを考えていけばいいのだろう」とか、そういうことを考えさせていただくきっかけになっていた。
作り上げているわけではないですけど、そうやって皆さんに応援していただけるからこそ、たくさんの方々が応援していただけるからこそ僕はここで発信できる、発言できるんだなと強く思いますし、その上で僕もその期待に応えられるように、その期待をさらに超えていけるよう頑張っていきたいと思えたので、そんな感じでやってこられたのかなと感じます。
ただ僕はアスリートでしかないと思っていて、これからいろいろな演技をしていったり、スケートを続けていくにあたって、いろいろな面が見えたりすると思うんですね。
その中でも芸能人とかアイドルでもないですし、アスリートとして格好いいなって、アスリートとしていろいろな希望とか夢とかを見せてもらえるなって思ってもらえるような存在として、これからも努力していきたいと今は思っています。
――競技者として貫けたこと、これからも貫いていきたいことは?
常に挑戦し続けることはこれからも続けたいなと思います。
正直、僕の中では線引きがとても難しいなと思ってしまっているんですけど、競技者としてのアスリートなのか、プロとしてのアスリートなのかという点に関してはすごく線引きが曖昧で、僕がここで「プロになりました」と言ったらプロなのかと言ったらそういう世界なので、そうとしか言い切れないというところがあるんですけど、でも僕は気持ちとしてはそんなに大きく変わったつもりはないです。
とにかくこれからも目標に向かって努力していきたいなと思いますし、より責任を持って自分の発言、行動に責任を持ってアスリートとして自分の活動を全うしていきたいなという気持ちでいます。
もちろん4回転半ジャンプも成功させて、それを皆さんと共有できたり、皆さんの前で成功させられたらいいなと強く思っています。
――具体的にショーなど新たな活動で考えていることは?
自分の中で考えていること、ちょっと話し合ったぐらいの段階でしかないんですけど、具体的にいろいろ進めようとしていることはあります。
それが何なのかというと、まだまだ自分の頭の中の構成を伝えただけなので実際に実現できるかどうか分からないです。
具体的にそれを言うのは、はばかられてしまうので申し訳ないんですけど、例えば競技者としてやってきたときは試合の前だけの個室だったり、試合で演技したりとか限られていましたけど、もっと今の時代に合ったスケートの見せ方であったり、ファンの方々であったり、スケートを見たことがない方々も含めて、これだったら見たいかもと思うようなショーであったり、応援してくださる方々が納得できるような場所だったり、演技だったり、そういうものを続けていきたいなって。
ざっくりとしか言えないんですけど思っているので、期間がいつになるということは難しいんですけど、ぜひ期待してほしいなって思っています。すみません。こんなコメントしかできなくて申し訳ないです。
――決断に至った時期、競技生活を離れようと思った時期、そこに至る最大の決め手は?
競技者としてここで終了というかここからプロになろうと思うことは多々ありました。平昌オリンピックが終わった段階でも思いましたし、新たなスタートとして次のステージに向かいたいと。ネガティブに引退とか、何か不思議ですよね、フィギュアスケートって。
現役がアマチュアしかないみたいで不思議だなと僕は思っているんですけど、実際、甲子園の選手が野球を頑張っていて甲子園優勝しました、プロになりました。それは引退なのかなと言われたらそんなことないじゃないですか。
僕はそれと同じだと思っていて、むしろここからがスタートで、これからどうやって自分が見せていくのかどれだけ頑張っていけるかというところが大事だと思っているので、そういう意味では新たなスタートを切ったなと今は思っています。
先ほどの質問の「いつプロに転向しようと考えたか?」というと、毎試合、毎試合、思っていました。
平昌オリンピックが終わって試合が終わるごとにいろいろ考えて、本当にいろいろなことを考えて、これ、努力している方向が間違っているのかなとか、本当に頑張れていないのかなとか、いろいろなことを考えながら競技をしてきました。
結果として最終的な決断に至ったのは北京オリンピックが終わってからです。
北京オリンピックが終わって帰ってきてしばらくして自分の足首を治すための期間として、治すための期間というか痛くて滑れなかったので、その期間の中でいろいろ考えたときに「もうここのステージにいつまでもいる必要はないのかな」と思って、よりうまくなりたい、強くなりたいと思って決断しました。
実際に最後に先日、ファンタジー・オン・アイスがあったんですけど、そのときに滑らせていただいたときが、自分がアマチュアスケーターとして滑らせていただくのが対外的に最後だったんですけど、そのときにもまた改めてより高いステージに立ちたいなと、よりいっそう努力したことがちゃんと皆さんに伝わるステージにいきたいなと思いました。
――結果を残し続けても「より強く」その意識は何がそれをかき立てるのか?
それはアスリートだからなのかなと強く思います。現状に満足したことは基本的にないですし、とにかくうまくなりたいなと思っていました。
それがジャンプであったとしても、フィギュアスケートで求められる音楽的な表現であったとしても、常にうまくなることが楽しみというか、それがあったからずっと今、スケートをやっていられるなと思っています。
自分の中では「スケート=生きてる」みたいなイメージがあって、生きる中でどうしてもうまくいったりいかなかったりって絶対あったり、そこに対して何か言われたり喜んでもらえたりとか、逆に停滞したり、そういったものがすごくスケートの中で感じられると思っていて、それこそが自分にとってのフィギュアスケートなのかなと。
記録を打ち立てたから、最高得点を出せたから、難しいジャンプを跳べたからとかそういう意味じゃなく、普通に生きている中で「もっと難しいことやりたい」とか、単純に小っちゃい頃だったらもっと褒められたいとか、そういった気持ちだけで頑張ってこられた気はします。