球界最年長投手 オリックス・能見篤史兼任コーチ企画 番外編 ~宮城大弥が語る能見篤史 “能見さんは、イメージ的には「心は鬼」”~
能見投手兼任コーチと宮城投手といえば、この企画でよく話題になる「8勝の約束事」があります。これは、宮城投手にハッパをかけるため、開幕前に能見投手兼任コーチが「(宮城は今季は)8勝しかできない」と“宣言”したものです。宮城投手が8勝以上した時には、能見投手兼任コーチが宮城投手を寮まで迎えに行くという約束です。この約束事についても宮城投手にダイレクトに質問をぶつけてみました。
能見投手兼任コーチについては、「すごくきれいなフォームで投げる、すごいピッチャーだな」「“1つの引き出し”として、認識しておこう」という野球に関しての真剣な話から、いたずらに関する「ちょっとだけはやり返させてもらってます」「意地悪な声が出ちゃいます」などの“本音”も宮城投手から飛び出しました。
――練習終わったばかりでありがとうございます。能見さんとは一緒に?
練習の時はいました。いまはここにはいないです。
――ちなみにきょうの能見さんはどんな感じでしたか?
いつもと変わらずという感じでした。
――「いつもと変わらない」というのはどんな感じでしょう?われわれはメディアとして接しているので、宮城投手から見た能見投手兼任コーチの人となりを教えてください。
たぶん(年齢が)二回りくらい違いますが、本当に接しやすくて(笑)いろいろなアドバイスとかももらいながらやってますし、「能見さんならこういう場面どういう感じで投げていますか?」とか聞きます。長い野球生活をしている人、成功者だと思うので、いろんなことを聞けるような人です。
――いろんなアドバイスの中で特に心に残っているものを、教えていただける範囲で教えてください。
本当に最近聞いた話で、よく話してたんですけど、どんな場面でも、「どんなに調子が悪くても投げやりにはならずに、やるべきことはしっかりやる」とはおっしゃっていたのは自分自身にも当てはまるなと思っています。
ワインドアップのイメージです。
――きれいですよね?
すごくきれいなフォームで投げる、すごいピッチャーだなという認識でしかなかったです。
――オリックスに来るとなったときはどう思いました?
僕は「ラッキー」というふうに思いました。
――その理由は?
やっぱり先発も中継ぎも野球人生としても長くやってますし、いろんな考えを持っている方なので、僕も聞いて、“1つの引き出し”として、認識しておこうというイメージでした。(移籍して)初日に挨拶に行ったときに「分からないことあったら聞いてもいいですか?」と聞いたら「いつでも、なんでも」と言ってくれたので。まぁ、僕からしたらラッキーな人が来てくれたと思いました。
――今でも同じ思いですか?
そうですね。やっぱり同じ左投手なので、「迷う部分というのは、ちょっと似ているな」と。話しながらも「似ているな」と思う部分があって、それ(迷い)を乗り越えてきた人なので、そこは話が合うというか、話をさせていただいています。
――具体的にどんなところが合うか教えていただけますか?
去年、2つ西武戦でデッドボールを当ててしまって(21年6月27日に初回栗山巧選手と、3回に源田壮亮選手に)左打者のインコースを課題に挙げていて、能見さんも「最初は投げづらかった」と言っていて。そういう話をしたときに「どうしてもそこ(インコース)を投げておかないと、相手もプロ野球選手なので、それ(アウトコース)だけで勝てない」と。それはすごく自分の中で、納得できました。
――宮城選手には「打者に向かっていって欲しい」とよく能見さんはおっしゃいますが、それもよく言われますか?
そういうことも言われますし、「しっかり自分で考えて配球とかも組み立てていけたら、もっといい球、放れるのに」ともアドバイスもいただきました。
――ちなみによく、「あいつは友達感覚」ともおっしゃいますが?
そんなことはないです(笑)
――笑いましたね?
そんなことはないです(笑)
――年上として敬っている・・・んですね?
全然敬ってます(笑)
――いろいろいたずらを仕掛けてくるとも聞いてますよ(笑)?
でも、やっぱり能見さんから教わったことはやっているんで(真剣なまなざし)
あの、よくみなさん、グラウンドでは先輩、後輩は関係なしって言うんで。あの・・・イタズラされたら、ちょっとだけは、やり返させてもらってます(笑)。
――(笑)外野でアップしているときにボールが来たら「あたれ!」とか言っちゃったとか・・・?
いや、「危ない」って言ったつもりが、そっちになっちゃってるんで。気持ちは注意の・・・
――能見さんを守ったということですか?
守ったつもりが、本音が・・・
――本音!!???
本音では・・・ないですけど(笑)意地悪な声が出ちゃいます(笑)
――20歳以上も年上ですが、接しやすい人なんですね?
そうですね。オリックスというチーム自体、話しやすく感じてるんですが、能見さんに出会って、まぁ最初は阪神(出身)の上下関係厳しそうな(笑)イメージがあったんですけど・・・能見さんがオリックスに慣れてくれました(笑)。
――最初のイメージと違ったんですね。
画面越しに知っている人くらいの認識だったので、チームに来たときは厳(いか)つい顔もしてたんで・・・阪神で何年もやって、イメージ的には「心は鬼」くらいのイメージだったんですけど(笑)
――仏だったんですか?
はい、めちゃくちゃ優しいです。
――マウンド上での能見さんは、一緒にいる時と違うと思いますが、どこがすごいと思いますか?
球の強さもそうですし、駆け引きとかもうまいですし、その、投げている場面では勉強しかないなと思います。
――西武戦(8月3日)で能見さんがリリーフしました。相手は森友哉選手でしたが、その姿から感じたものはありますか?
攻め方がうまいなと。(僕が)ランナーを出してしまって、交代だったんですけど、プラス(その試合で)2本ホームランを打たれている打者で、3球連続インコースを投げていました。僕はなかなかいかないような攻め方をして、勉強にもなりますし、調子いいバッターの抑え方もそういうふうに打ち取れるんだな、とは思いました。
――ちなみにこの企画でも紹介した「8勝の約束事」ですが、何で8勝なんですか?
能見さんが今年僕に対して、「8勝しかできない」という、まぁ、ウソの証言をいいましたので、僕はその8勝を超してやろうと思って、8勝以上したら、「車で迎えに来て下さい」と言いました。
――能見さんはなんと?
「いいよ」と、いうふうに言ってました。男同士の約束になるじゃないですか。先輩・後輩関係ない約束なんです。
――能見さんに面とは向かって言えないこと、伝えたいことはありますか?
本当、いつも助かってますし、去年も最後までやりきれた部分も能見さんのおかげだと思いますし、今年も不安のなか始まったシーズンでしたけど、まだ終わってないんですけど、ここまで投げることができているのも能見さんのおかげだと思います。直接は照れくさいんで、「ありがとうございます」と言っといてください。
――了解しました。最後になりますが、宮城投手の今年のテーマをお聞かせいただけますか?
数字は気にしてなくて・・・少しは気にしているんですけど、あまり気にせず、まずはケガなしで1年間、思い切りできたらな、というのを目標にしています。
そこから、何勝できたらいいなとか、防御率・・・今はめちゃ高いんですけど、(16日現在で3.54)2点台でいけたらなとか小さい目標にして。まずは大きい目標にケガせず1年間、もう一回やりきるというイメージでやっています。