T-岡田の“最後の1日”に密着 引退試合前には「いろいろ思い出して寝られなかった」 “一番すごかった投手”は?
履正社高校から2005年ドラフト1位でオリックスに入団したT-岡田選手。この“T-岡田”という登録名は7000通以上の一般公募から採用され、持ち前のパワーを恐竜の“T-REX”にかけて名付けられました。
プロ5年目の2010年には王貞治さん以来48年ぶりとなる22歳の若さでホームラン王に。以降もホームランを量産していましたが、2019年にはケガの影響もありHRはわずか1本。オフには再起をかけてプエルトリコへ武者修行に行くなど、19年間にもおよぶプロ生活を全力で駆け抜けてきました。
そんなT-岡田選手を支えていたのが妻・彩さん。2人の息子とともに活躍を支え、見守ってきました。
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迎えた9月24日、引退試合当日。愛息子からのリクエストに応え「ホームランを打てるように頑張るわ」と意気込みながら、試合開始8時間前である午前10時に自宅を出発。
移動中の車内で岡田選手は「なんかいろいろね、思い出してきて。寝られなかったよね」と少しさみしそうに笑顔を浮かべます。車内の窓から本拠地・京セラドームが見えると「もうちょっとドライブしようか」と冗談まじりに言葉をもらしました。
試合開始4時間に行われたバッティング練習。T-岡田選手の姿を見ようとスタンドには多くのファンが集まりました。そのファンの前でT-岡田選手は豪快弾を連発。ボールが外野スタンドに飛び込む度にファンからは拍手と歓声が上がりました。
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ついに最後の試合開始。T-岡田選手はこの日の5回に代打で出場しました。さらにファーストの守備にもつき、ファンの前で最後の雄姿を見せます。
9回2アウトで迎えた、T-岡田選手の最終打席。3球目のストレートをとらえると、打球は大きく弧を描きながらライト方向へ打ち上がります。T-岡田選手らしい弾道に会場中のファンが歓声をあげますが、打球はライトポールのわずか右。上段スタンドに飛び込む特大ファウルとなりました。T-岡田選手はこの一打に、悔しそうに笑顔でしゃがみこみます。その後、大きくスイングするも三振でゲームセットとなりました。
試合後、岡田選手は「本当にすごい声援をいただいて。応援してくれた方の記憶にT-岡田を残してもらえたら本当に幸せです」とコメント。
妻・彩さんは「あの惜しいファウルを見るとまだこの姿を見ていたいなっていうのが本音ですけど、夢のような時間をたくさんもらえて、本当に感謝しています」と涙ながらに思いを語りました。
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最後にT-岡田選手が思う『一番すごかったピッチャー』を聞くと、「ダルビッシュ有さん」と答。「やっぱスライダー。もう本当にどうやって打ったらいいんやろと思って対戦してた」と明かしました。
難敵と語るT-岡田選手でしたが、実はメジャーに渡る前のダルビッシュ有投手から最後にホームランを放ったのは、T-岡田選手。そのことをスタッフから伝えられると「え?ダルビッシュさんからですか?ちょっと記憶にないですね、興奮して覚えてないのかも」と苦笑い。これには妻・彩さんも「そんなことある?」とツッコミをいれました。
(11月17日放送の日本テレビ『Going! Sports&News』を再構成)